教養をつけたい。知識を深めたい。勉強をしたい。今の自分を一歩進めて少しだけ新しい自分になりたい時にオススメの本を集めたのが「知の旅へ」レーベルです。
『ウィーン愛憎』中島義道/中央公論新社
ウィーンといえばハプスブルク帝国、音楽の都、観覧車くらいしか思いつかないですが、本書は哲学者の中島義道さんがヨーロッパの高慢や偏見に立ち向かう話です。内容は高飛車な人々への不平不満だらけなのですが読んでいて実に面白いです。外国でも特にヨーロッパなどは歴史も古く憧れをもってしまいがちですが、実際に現地で暮らすには注意が必要なようです。(R.S.)
哲学者である著者が若かりし頃のウィーン滞在記。慣れない土地で起こる理不尽や偏見に対し不撓不屈で立ち向かう、ヨーロッパ精神との格闘物語。(K.K)
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『サクッとわかるビジネス教養 東南アジア』助川成也/新星出版社
『「本をつくる」という仕事』稲泉連/筑摩書房
本づくりには校閲、装丁、製本、書体など様々なプロフェッショナルの方々が関わっています。本書を読むと本は工業製品で本にまつわる産業がたくさんあるのだということがわかります。紙の本が好きな方や出版業界に身を置く方には是非ご一読頂きたいです。(R.S.)
良作。1冊の本が私たちの元に届くまでの過程、職人たちの思いを知ることのできる一冊。本棚に並ぶ本たちをよくうちに来てくれたね、と撫でてあげたくなります。電子書籍も愛用しておりますが、やはり紙の本が好きだ。(N.K)
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『打ちのめされるようなすごい本』米原万里/文藝春秋
『生物と無生物のあいだ』福岡伸一/講談社
福岡伸一さんには何度かお会いしたことがあります。私のような門外漢にも分子生物学をわかりやすく説明するべくとても熱意に溢れた方でした。本書は2008年の第1回新書大賞を受賞したサイエンスノンフィクションの傑作です。生物の面白さをわかりやすく説明していますが、とても美しい文章で綴られておりエッセイとしても1級品です。(R.S.)
生命とは絶えず変わり続けること。そのルールを追求する科学者たちの戦いを描いたサイエンスミステリー。一切の代謝を行わないウイルスは生き物のルールから外れ、限りなく”物質”に近いんだそうです。しかし”自分を複製する”ことの執着はどこまでも”生物”くさいんだよなあ・・・。(S.T)
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『すごい物理学講義』カルロ・ロヴェッリ/河出書房新社
『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』末永幸歩/ダイヤモンド社
私は昔から美術が苦手で学生時代もあまりいい成績ではありませんでした。そんな私はもちろん絵画や彫刻についてそれほど知識がありません。しかし本書を読めばアートとはいったい何か、有名なアーティストはなぜすごいのかについてとても良くわかります。「13歳からの」とありますが、大人にこそ本書を読んでアートへの造詣を深めて頂きたいです。(R.S.)
「自分なりに見、自分なりに考え、自分なりの答えを出す」現代人が明らかに衰えた能力がこれだと思う。(K.O)
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『Tokyo style』筑摩書房/都築響一
『路上観察学入門』赤瀬川原平(著)、藤森照信(著)、南伸坊(編)/筑摩書房
赤瀬川さんは1980年に発表した「父が消えた」で第84回芥川賞を受賞していますが、本当は前衛芸術家でした。1998年に発表した『老人力』は当時40万部を発行してベストセラーになり一世を風靡しました。赤瀬川さんの特徴は多くのナンセンスやユーモラスな組織の結成に携わって活動していたことでしょうか。そんな活動のひとつに「路上観察」がありました。マンホール、エントツ、看板など路上で観察できるもの全てを対象としてフィールドワークを行い、街を分析する。タモリ倶楽部がもっと濃くなった感じでサブカルチャーの走りだったのではないでしょうか。(R.S.)
街中のいたる所に「面白い」は落ちている!観察する楽しみを知ると、見慣れた街並みが少し変わって見えてきて、歩くのが楽しくなります。(Y.W)
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『打ちのめされるようなすごい本』米原万里/文藝春秋
『打ちのめされるようなすごい本』米原万里/文藝春秋
米原万里さんはロシア語同時通訳者でエッセイスト、ノンフィクション作家で小説家です。2001年に発表した『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』で第33回大宅壮一ノンフィクション賞を、2003年の『オリガ・モリソヴナの反語法』で第13回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞しています。本書は「週刊文春」に掲載されていた「私の読書日記」とその他の書評ををまとめた米原さんの最初で最後の書評集になります。2006年に56歳の若さで亡くなるので本書は米原さんが亡くなった後に出版されました。まずは米原さんの読書量に圧倒されるのですが、綺麗で力強い文章にも押されます。米原さんの考えや好みが反映され刺激的で忌憚のない意見を述べているのが本書に個性を与えています。読みたい本がどんどん増えていくので注意が必要です。(R.S.)
打ちのめされた!!米原万里さんの読書日記&すこし闘病記。読書量と興味の幅の広さに圧倒されます。(M.I)
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『死すべき定め』アトゥ-ル・ガワンデ/みすず書房
『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』佐藤雅彦(作)、菅俊一(作)、高橋秀明(画)/マガジンハウス
最近よく聞く「行動経済学」についてピタゴラスイッチの佐藤雅彦さんが監修してマンガでわかりやすく教えてくれる本です。身近な例で解説しているのですが例えば
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スーパーマーケットで陳列するお菓子のPOPに、「従来の製品の90%の油分を使用」と書くのと、「従来の製品より油分を10%カット」と書くのとでは、後者の方がお客様は買いたくなるはずです。
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といった感じです。出版社のマガジンハウスによると2017年11月の発売以来クチコミで売れ続け、Twitterでも「中学か高校の教科書にして欲しい」と3万件超リツイートされて大ブレイクした一冊とのことです。(R.S.)
人が何気なく行っている行動が、経済に影響を与えていく…経済学を面白い視点で、マンガを交えて分かりやすく読み解いている。経済学というと逃げ腰になる方にも、楽しく読み進めていける一冊です。(K)
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『渋谷ではたらく社長の告白』藤田晋/幻冬舎
『ハーバード日本史教室』佐藤智恵/中央公論新社
ハーバード大学で日本についてこんなに多彩な授業が行われているとは驚きです。ハーバード大学の教授10人のインタビューを通して世界から見た日本の価値を再確認する一冊です。(R.S.)
世界から見た日本とはどのような国なのか。またどのように考えられているのか。外から見た日本を知ることで新たな魅力を発見させてくれる。(Y.N.)
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『日本の歴史をよみなおす』網野善彦/筑摩書房
『いかにして問題をとくか』G.ポリア(著)、柿内賢信 (訳)/丸善出版
本書は世に言う一般的な“数学本”とは若干内容が異なります。未知の問題に出会った場合どのように考えたらよいのか。問題を解く筋道をやさしい数学を例にとって興味深く説明します。新しい創造力に富んだ発想法、考え方をあざやかに示します。(R.S.)
時代を超えて読み継がれる数学的発想法の名著。神保町本店の理工書では販売数はぶっちぎりの1位でした。(A.S.)
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『数学物語』矢野健太郎/角川学芸出版
『サクッとわかる ビジネス教養 東南アジア』助川成也(監修)/新星出版社
東南アジアは国によって政治や宗教も異なります。地域により民族も異なり多様性が重要です。本書は既に知っていること、なんとなく知っていることも含めて平易に書かれていますが、読後は東南アジアについて簡単に説明することができるようになります。(R.S.)
東南アジアとはどの国のことを言うのか、ASEANとどう違うのかといった初歩的なことから、地理、歴史、経済など体系的に東南アジアを理解することができます。(R.S.)
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『リスク、不確実性、利潤』フランク・H・ナイト/筑摩書房
2025年12月5日 更新