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「子どもの教育が世界を変える」— 世界29か国で識字教育と女子教育を届けるルーム・トゥ・リード

本を読むことが日常の一部となっていると、文字を読み、情報を得られることは当たり前のことのように感じてしまいます。しかし、世界には今もなお、読み書きができない子どもたちが数多く存在しています。ここでは、識字教育と女子教育を通じて世界中の子どもの教育支援している国際団体「ルーム・トゥ・リード」をご紹介します。

ルーム・トゥ・リードは、「子どもの教育が世界を変える」という信念のもと、2000年に設立されました。創設以来、29か国で5,200万人以上の子どもや若者に対し、識字教育とジェンダー平等を促進する女子教育を届けてきました。

その始まりは1998年、共同創設者の一人であるジョン・ウッド氏がネパールを訪れ、教育資源が極端に不足している現状を目の当たりにしたことでした。ジョンは「一つの学校に図書室をつくるだけの本を集めよう」と決意し、帰国後に友人たちへ協力を呼びかけました。個人の本の寄付から始まったこの活動は、やがて世界規模の教育支援へと広がり、現在までに4,400万冊以上の現地語の児童書の制作・配布につながっています。これらの活動を通じて、子どもたちは読書の楽しさとともに基礎的な学習能力を身につけ、また思春期の少女たちは、ジェンダー平等を促進するための重要なライフスキルを育めるよう支援されています。

現在、SDGs(持続可能な開発目標)では17の目標が掲げられていますが、その一つである「質の高い教育をみんなに」は、いまだ十分に達成されていません。世界には約7億7,000万人以上の人々が満足に読み書きができず、その約3分の2は女性や少女です。さらに、低・中所得国では10歳児の10人中7人が簡単な文章を読んで理解することができず、年齢に応じた基礎的な読解力を身につけられていない状態に置かれています。

こうした現状を変えるため、ルーム・トゥ・リードは非識字とジェンダー不平等のない世界の実現を目指しています。教育者への研修・支援、質の高い学習教材の提供、学習環境の整備、教育制度の強化などを通じて、すべての子どもの尊厳を尊重しながら、より多くの子どもたちに、より早く、確かな学習成果を届けるプログラムを実施しています。

ルーム・トゥ・リードとその使命を知ることができるおすすめの書籍をご紹介します。

創設者であるジョン・ウッド氏と、ルーム・トゥ・リードの活動を知っていただける本をご紹介

ルーム・トゥ・リードはこうして始まった『マイクロソフトでは出会えなかった天職』

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

ジョン・ウッド(著),矢羽野薫(訳)

武田ランダムハウスジャパン

ISBN: 978-4-270-00248-3

休暇でネパールのトレッキングに出かけた著者のジョン・ウッドが、現地の小学校で、本のない図書室の現状を見せられます。友人たちに本の寄贈の呼びかけのメールを送ったことがきっかけとなり、やがては、マイクロソフトを退職して、国際NGO、ルーム・トゥ・リードを立ち上げることに。
ジョンの呼びかけに応じて続々と本が実家に集まるくだりや、父親と一緒にネパールに本を届けに行く、ルーム・トゥ・リード前史とも言うべき本書の前半部分は何度読んでもワクワクします。
「人生の宝くじに当たった」自分たちの幸福を思い、途上国の子どもたちにも、読書の喜びを届けようという思いが、ルーム・トゥ・リードの活動の根源であることが、本書から読み取れます。

本好きのひとりから始まった教育支援の物語には続きがあります。

僕の「天職」は7000人のキャラバンになった マイクロソフトを飛び出した社会起業家の成長物語

ジョン・ウッド(著),矢羽野薫(訳)

ダイヤモンド社

ISBN: 978-4-478-02289-4

創設者ジョン•ウッドによるルームトゥリードの教育支援活動を描いた二冊目の本書。設立十年目にして一万カ所目の図書館を途上国に完成させ、2015年には1000万人の子供に教育を届けることを目標としている脅威の成長スピードの秘密の一端にふれることができます。必ずしも順風満帆であったわけではなく、現地スタッフの横領や、寄付を約束しながら実行しない大富豪のミスターエックス、リーマンショックなどによる挫折経験も。読みたい本が読めるという、人生の宝くじに当たった身として、出来ることをやろうという気にさせてくれます。

ルーム・トゥ・リードの児童書制作のワークショップを通して生まれた物語。手話を通して、少女の友情が深まります。

おどっているよ、わたしのて 目で見ることばでおはなししたら

ジョアンナ・ケ(著),チャリーナ・マルケス(著),フラン・アルヴァレス(絵)

偕成社

ISBN: 978-4-03-348680-2

本書『おどっているよ、わたしのて』は、手話を使う少女マイと、話し言葉を使う少女サムの出会いから始まります。手や表情で気持ちを伝えるマイのことばに、サムはそっと耳を澄まし、少しずつ手話を学びながら、二人はゆっくりと友情を育んでいきます。

作者とイラストレーターはいずれも、ルーム・トゥ・リードがフィリピンで行った創作者向けのワークショップの参加をきっかけに、この作品を手掛けることになりました。「すべての子どもが、自分を映し出す物語を持てますように」という願いのもと、フィリピンで発行され、その後、2023年にルーム・トゥ・リードと米国Chronicle Booksとのパートナーシップを通じて、世界へと届けられました。
本作は、米国で出版された唯一のフィリピン手話の絵本として、これまで物語の中で描かれることの少なかった、ろう・難聴の子どもたちの世界を、やさしく照らします。
そしてこの度、日本語版『おどっているよ、わたしのて』が、出版されました。巻末には原書掲載のフィリピン手話に加え、日本版オリジナルで、日本手話、国際手話も加えた、手話の紹介ページも収録しており、絵本を読んだあとに、手話を実践することもできます。「シュナイダー・ファミリー・ブック賞」(主催:米国図書館協会)、「エズラ・ジャック・キーツ賞」(主催:ニューヨーク公立図書館)オナー作品。

ルーム・トゥ・リードの活動にご興味のある方は、下記より詳細をご覧いただけます。

ルーム・トゥ・リードは、すべての子どもたちに本を読み、学び、成長できる“場所”を届け、非識字とジェンダー不平等のない世界の実現を目指しています。

ぜひ、本を通じて子どもたちをサポートする活動を知っていただければと思います。

2026年2月13日 更新

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