





古代ギリシャ・ローマをより深く知る5冊ーラテン語さん
古代ギリシャ・ローマは西洋文化の源であり、現在もその影響は文化面や政治面など、幅広いところで見られます。しかし、一般に古代ギリシャ・ローマというと、なんとなくとっつきにくい、難しそうというイメージもあります。そこで、古代ギリシャ・ローマに興味はあるけれどどんな本を読めばいいか分からないという方におすすめしたい5冊を選びました。
『しっかり学ぶ初級古典ギリシャ語』堀川宏/ベレ出版
難しい言語を分かりやすく解説
古代ギリシャの哲学や文学などは、現代の西洋に多大な影響を与えています。また、古代ローマ人もギリシャを文化のお手本としていました。現在でも古代のギリシャの言語を学ぶ人は欧米を中心に多く存在します。ただ、古代のギリシャ語を習得するには動詞の活用や多様な分詞の種類や格変化などなど、多くのことを覚えなくてはいけません。この本では、そんな複雑な文法が読者に語りかけるやさしい口調で丁寧に解説されているので、ギリシャ語の一冊目として大いにおすすめします。プラトンやアリストテレスの哲学書を、アイスキュロスの悲劇を原文で読みたいという方は、ぜひおすすめです。
『ギリシア文法』シャルル・ギロー/白水社
「なぜ?」が分かる文法書
新書サイズの文法書ですが、あなどってはいけません。かなり詳しくギリシャ語が解説されており、初学者には難しい本です。先ほど挙げた『しっかり学ぶ初級古典ギリシャ語』で一通り文法知識を身に付けた段階でこの本を読むことをおすすめします。この本は特に形態論に詳しく、「なぜこの活用はこのような語形になるのか」という理由が詳しく解説されています。そのため、名詞の複雑な格変化や動詞の活用が覚えやすく、また覚えた知識が定着しやすくなるのです。ぜひ、ギリシャ語学習に大いに役立ててください。
『世界はラテン語でできている』ラテン語さん/SBクリエイティブ
あれもこれも、ラテン語由来だった
「ラテン語」という名前は知っていても、それがどのような言語かはなかなか知られていません。私が書いたこの本では、古代ローマで生まれたラテン語はどのようなものか、古代・中世・近世・現代でどのようにラテン語が使われたかを解説しています。また、扱う分野は歴史だけでなく宗教、政治、化学、現代社会、日本と幅広いです。日常的に聞く言葉にもラテン語由来のものが多く、この本を読めばラテン語についてだけでなく現代語の知識も深まります。
『古代ローマ人の24時間』アルベルト・アンジェラ/河出書房新社
古代ローマが見えてくる圧巻の描写
あらゆる職業、あらゆる地区での古代ローマの平民の生活を、時間ごとに区切って解説している本です。その描写は学術書ではなく小説を読んでいるような書き方をしており、読んでいると、街で暮らす古代ローマ人たちの光景がありありと浮かんできます。読んでいてまったく飽きず、ページをめくる手がとまらない、だけれども当時の風習などの解説はきちんと詳細になされているという、楽しく読めて知識もつく良書です。
『座右のラテン語』ヤマザキマリ、ラテン語さん/SBクリエイティブ
名言をさらに掘り下げる
よく知られているラテン語の名言、あまり知られていないけれど広く知られてほしい格言についての、ヤマザキマリ先生と私ラテン語さんによる対談本です。また、格言の紹介と日本語訳だけでなく、出典の文学作品における文脈や、その格言に関する生き方についても語りあいました。対談本なので、かなり読みやすくなっています。普段言語についての本をあまり読まない方にもおすすめです。きっと、お気に入りの名言が見つかるはずです。
ここに挙げた5冊を読んでもっと古代ギリシャ・ローマの事を知りたいと思うようになった方は、ぜひ書店に足を運んでギリシャ・ローマに関する他の本も見ることをおすすめします。加えて、古代ギリシャ・ローマの文学作品の日本語訳も読むこともおすすめしたいです。作品を最初から最後まで通して読めば、抜粋では味わえなかった作品の魅力も十分に味わえると思います。面白くて奥深い古代ギリシャ・ローマの世界を、もっと探検してみてください。
2025年5月30日 更新