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ワクワクやドキドキが止まらない‼【Part5】

本を読んでいる時にページをめくる手が止まらなくなり最後まで読まないと気が済まなくなったことはありませんか?謎解きや笑いや冒険など驚きに満ちた本がたくさんあります。手に汗握って息をのみ徹夜してしまうこともあるかもしれません。そんなワクワクやドキドキをお届けするのが「ワンダ?ワンダ!」レーベルです。

『星間商事株式会社社史編纂室』三浦しをん/筑摩書房

星間商事株式会社社史編纂室

三浦しをん

筑摩書房

ISBN: 978-4-480-43144-8

三浦しをんさんには珍しく少しドタバタコメディですが、恋愛、仕事、趣味など盛りだくさんな内容で読み応えはバッチリです。BLを愛する腐女子が社史編纂室に左遷され、強烈なキャラクターの同僚たちと社史に纏わる奇想天外なミステリーが展開します。三浦さんの同人誌や紙の本に対する愛情とオタクやBL好きが伝わる作品となっています。(R.S.)

商社勤務アラサー同人女のリア充、ここに極まれり!(I)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『風が強く吹いている』三浦しをん/新潮社

『ドミノ』恩田陸/角川書店

ドミノ

恩田陸

角川書店

ISBN: 978-4-04-371001-0

東京駅を舞台に27人と1匹の登場人物が偶然が重なってひとつの物語に繋がっていくスピード感溢れるパニックコメディです。たくさんの登場人物がドタバタしながら集まってくるのですが、こんな設定とストーリーを考えた恩田さんの発想とそれをまとめる力がすごいと思います。(R.S.)

怒涛の展開と疾走感ある情景描写が魅力。ページをめくる手が止まらない。(N.S.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『麦の海に沈む果実』恩田陸/講談社

『巷説百物語』京極夏彦/角川書店

巷説百物語

京極夏彦

角川書店

ISBN: 978-4-04-362002-9

京極夏彦さんは小説家ですが妖怪研究家でもあります。仕事の合間の暇な時間に書いたデビュー作の『姑獲鳥の夏』は原稿を受け取った講談社の編集者が「覆面作家なのでは?」と思ったほどのデビュー作とは思えないクオリティの高さでした。本書では江戸時代に曲者ぞろいの悪党たちが公に裁くことのできない事件を請け負います。京極版「必殺仕事人」といえばわかりやすいと思いますが、仕事の仕方が京極流あやかし系なのがいいです。ちなみに妖怪は出てきません。(R.S.)

昼に生きる者と、夜を行く者たちの、浮世を騙る長い旅路、その邂逅。タイトルに魅かれて手に取った高2の夏からずっと刺さったままのシリーズです。(K.M.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『火車』宮部みゆき/新潮社

『女王蜂』横溝正史/角川書店

女王蜂

横溝正史

角川書店

ISBN: 978-4-04-130411-2

横溝正史さんは1921年にデビューしますが1948年に金田一耕助が初登場する『本陣殺人事件』で第1回探偵作家クラブ賞(後の日本推理作家協会賞)長編賞を受賞するまではあまり目立たない存在でした。その後代表作を量産しますが松本清張などの社会派ミステリーの台頭により1960年代半ばに執筆を中止します。しかし1970年代半ばに角川映画の原作として横溝正史ブームが巻き起こり70代になっていた横溝さんはまた長編を発表するようになります。本作は1952年の作品で日本三大名探偵の1人の金田一耕助シリーズです。島育ちの絶世の美女が婿選びのため東京の義父のもとへ引き取られ、そこからバタバタと人が死んでいきます。本当に文句のつけようのストーリーで小道具使いやトリックも素晴らしいです。(R.S.)

お正月のスペシャルドラマを見て興味本位で読んでみたら横溝ワールドにずぶずぶにハマりました。ここから金田一シリーズを全部読む羽目に。(T.N.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『向日葵の咲かない夏』道尾秀介/新潮社

『パルプ』チャールズ・ブコウスキー(著)、柴田元幸(訳)/筑摩書房

パルプ

チャールズ・ブコウスキー(著),柴田元幸(訳)

筑摩書房

ISBN: 978-4-480-43347-3

著者のチャ-ルズ・ブコ-スキーはドイツで生まれ第一次世界大戦後にアメリカに移住しました。彼は生涯変わることなく「本物の無頼漢」として貫いた自らの生き方を、詩や小説の題材へと反映させました。下品な表現などがこれでもかというぐらい詰め込まれているのがブコウスキー文学の特徴といえます。本書は史上最低の私立探偵ニック・ビレーンが行きあたりばったりに生きのびていく支離滅裂な物語です。ストーリーは本筋からはずれハチャメチャで何を書きたかったのかわからないのですが読めてしまいます。くだらなさもここまでくるとカルト的な面白さとなるのかもしれません。柴田元幸さんが翻訳し東山彰良さんが解説を担当しています。(R.S.)

小説ですがもはやギャグマンガ。史上最低の探偵ニック・ビレーンのもとにくる依頼は意味不明なものばかり。死神、宇宙人など登場人物もみんなすごいです。(S)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『素粒子』ミシェル・ウエルベック/筑摩書房

『卵をめぐる祖父の戦争』田口俊樹(訳) 、デイヴィッド・ベニオフ(著)/早川書房

卵をめぐる祖父の戦争

田口俊樹(訳) ,デイヴィッド・ベニオフ(著)

早川書房

ISBN: 978-4-15-041248-7

ロシア第二の都市サンクトペテルブルクはソ連崩壊前はレニングラードという名前でした。本書は第二次世界大戦でのいわゆる独ソ戦でドイツ軍が900日近くにわたってレニングラードを包囲したものの、レニングラードは包囲に耐え抜いたレニングラード包囲戦を題材にしています。ナチスドイツの非道さとソビエト側の飢餓で物語の場所と時代の設定としては最悪です。しかし随所に見せ場を配置してまるで冒険小説を読ませるかのようなテンポとユーモア感が絶妙です。主人公の少年たちが戦争の悲惨な状況に遭遇するのですが、それがリアリティを感じさせ登場人物のキャラクターが魅力的な青春小説ともいえます。(R.S.)

ユダヤ人青年と脱走兵に課せられた特命は「一週間以内に卵を1ダース手に入れろ」。どこか滑稽な、けれどそこで描かれるのは戦争のリアル。どこまでもユーモアを忘れない凸凹コンビは、生き延びるコトが出来るか…!?(S.T.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『父を撃った12の銃弾 上』ハンナ・ティンティ/文藝春秋
『父を撃った12の銃弾 下』ハンナ・ティンティ/文藝春秋

『恋文の技術』森見登美彦/ポプラ社

恋文の技術 新版

森見登美彦

ポプラ社

ISBN: 978-4-591-18382-3

森見さんの物語に登場する主人公は独特で面白い人が多いです。本書の主人公の守田君も恋に悩む友人宛の手紙で恋愛指南したりするのですが、自分は意中の彼女に想いを伝えようと四苦八苦します。思わずニヤニヤしてしまうので電車の中などで読まない方がいいかもしれません。ネットの発達により瞬時に想いを伝えられるようになった現在、時差のある手紙ってどうかなとも思いますが、やはり言葉を選んだ後にそれを手書きの文字にして伝えるというアナログさがデジタル全盛の昨今に逆に魅力的です。(R.S.)

ある大学院生が友人たちに送った手紙から始まる文通のお話。手紙の中身は正直かなりくだらないですが、なんともいえない面白さがあふれています。(Y.N.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『宵山万華鏡』森見登美彦/集英社

『綺譚集』津原泰水/東京創元社

綺譚集

津原泰水

東京創元社

ISBN: 978-4-488-54202-3

津原さんはデビュー後しばらくの間は「津原やすみ」名義で少女小説を書いていらっしゃいました。1997年に発表した『妖都』から”津原泰水”名義となり幻想小説を中心とした作品になります。本書は初期の短編集でファンタジー、エログロ、ホラーが入り交じり、官能的だったり頽廃的だったり蠱惑的だったりとまさに職人芸の域にまで高められた小説技巧を堪能できます。(R.S.)

もうこれだけでいいやとさえ思ってしまった。物語に取り残されるような文章のキレに魅了され、読みたかったのはこれだと確信した。当店に並んでいるのを見て又吉さんもオススメしてくださった1冊。(S.S.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『狂気の山脈にて』ハワード・フィリップス・ラヴクラフト/新潮社

『向日葵の咲かない夏』道尾秀介/新潮社

向日葵の咲かない夏

道尾秀介

新潮社

ISBN: 978-4-10-135551-1

ミステリーの中には本格ミステリーや警察小説、暗号解読やサスペンスなど色々なジャンルがあります。その中に叙述ミステリーというジャンルがあります。叙述ミステリーとは読者にあえて情報を伏せ、事実を誤認させるトリックのことを指します。本書の他にも『葉桜の季節に君を想うということ』や『十角館の殺人』などが叙述ミステリーに入ります。とにかく不快感がつきまとい気味悪くぞわぞわ、じめじめする、読んだ後に嫌な気分になるイヤミスでもあります。(R.S.)

物語の”違和感”に引きずり込まれるような、強烈な作品です。読めば必ず衝撃をうけると思います。(M)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午/文藝春秋

『氷菓』米澤穂信/角川書店

氷菓

米澤穂信

角川書店

ISBN: 978-4-04-427101-5

青春ミステリーに学園ものも要素が加わった感じで、殺人が起きるわけではなく高校生の主人公が日常の謎を解いていきます。本書は米澤さんのデビュー作で短編集ですがそれぞれに起承転結があり伏線も回収されており非常に完成度が高いです。TVアニメ化、実写映画化もされている人気作です。(R.S.)

『氷菓』は、米澤穂信さんの古典部シリーズの1作目です。日常で起こる謎を解決するとともに、登場人物の関係性の変化を描いていく青春物語でもあります。手軽にミステリーが読みたい人におすすめの1冊です。(T.U.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『幸福な食卓』瀬尾まいこ/講談社

2025年12月26日 更新

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