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心にグッとくる!【Part5】

本には読んでいる人の心を揺り動かす力があります。心が揺さぶられたり、思わず涙腺が緩んでしまったり、一生に一度出会えることが奇跡のような本を集めたのが「グッとBook!」レーベルです。

『チルドレン』伊坂幸太郎/講談社

チルドレン

伊坂幸太郎

講談社

ISBN: 978-4-06-275724-9

マイペースで周りの人間を振り回すのだがどこか憎めない陣内を中心に起こる不思議な事件。本書は5つの連作短編ですが魅力的なキャラクターと痛快でミステリー要素もあって本当に楽しめます。陣内が気に入った方は続編の『サブマリン』もどうぞ。(R.S.)

何度も繰り返し読んでしまう作品。自分の中の凝り固まった固定概念を良い意味でぶち壊してくれます。初めて読んだときは10代前半でしたが、読む度にぐっとくるポイントがまた違って年を重ねても変わらず面白いと思う一冊です。(N.K)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『風が強く吹いている』三浦しをん/新潮社

『凍りのくじら』辻村深月/講談社

凍りのくじら

辻村深月

講談社

ISBN: 978-4-06-276200-7

この本では特に辻村さんのドラえもんへの愛と藤子・F・不二雄さんへ敬愛の念が感じ取れます。主人公理帆子はだれとでも仲良くなれるけど、どこにいても自分の居場所を見つけることができない少し傲慢な女の子ということで、主人公に共感できず前半進みます。しかしそのうち主人公の弱さが見えてくるとぐっと物語に引き込まれます。辻村さんはその後2019年に「映画ドラえもんのび太の月面探査記」の脚本を執筆してそのノベライズ版を発売することになるのです。(R.S.)

主な参考文献:『ドラえもん』全45巻/小学館 『大長編ドラえもん』/小学館 及び、そこに流れる哲学と優しさの全て。巻末に記されたこの1ページに、この作品の魅力が全て詰まっている。章題も、全てひみつ道具になっている。(S.T.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『島はぼくらと』辻村深月/講談社

『悪童日記』堀茂樹(訳) 、アゴタ・クリストフ(著)/早川書房

悪童日記

堀茂樹(訳) ,アゴタ・クリストフ(著)

早川書房

ISBN: 978-4-15-120002-1

この本を読むには残酷で胸の悪くなるような出来事を読んでも大丈夫なのかどうか少し覚悟が必要です。都会からおばあちゃんの家に疎開することになった双子の兄弟「ぼくら」が送る過酷な日々が淡々とした感情を排除した文章で綴られていきます。著者のアゴタ・クリストフは1956年のハンガリー動乱からスイスに逃れており、亡命の厳しい体験が色濃く反映した三部作の1作目です。(R.S.)

極限状態を生き抜くため、感情を殺して独自の宗教で生きようとした双子の手記。簡素で読みやすい文章がとめどなく心をえぐりに来る。狂気にあらがう無垢もまた狂気。そこにいつの間にか引きずり込まれます。(S.S.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド/早川書房

『始祖鳥記』飯嶋和一/小学館

始祖鳥記

飯嶋和一

小学館

ISBN: 978-4-09-403311-3

私が中学生くらいの頃から「鳥人間コンテスト」という人力でどのくらい長く遠くに飛べるかを競う番組がテレビで放映されています。人間は大空を飛ぶことを夢見ているのですね。本書は2000年に発売された際に多くの媒体で絶賛されました。時代小説なので最初は特有の言い回しや名前に戸惑うかもしれません。でも読み進めていくうちに人生でこの本に出会えて良かったと思うこと間違いなしの傑作中の傑作です。(R.S.)

大空を飛ぶことにすべてを賭けた男の物語。読めば読むほど体が熱くなる!記憶をなくしてもう一度読みたい小説1位!普段時代小説を読まない人にもぜひ読んでほしい!(S)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『漂流』吉村昭/新潮社

『風が強く吹いている』三浦しをん/新潮社

風が強く吹いている

三浦しをん

新潮社

ISBN: 978-4-10-116758-9

三浦さんには一度お会いしたことがあります。『舟を編む』は2012年の本屋大賞を受賞されましたし映画化もされたのでご存じの方も多いと思います。本書は笑いと涙に溢れた胸がアツくなる青春小説です。まるで登場人物と一緒に走っているような気持になります。2007年の本屋大賞では3位に入っています。(R.S.)

一人の夢がみんなの夢となり、襷と共に想いが繋がっていく。熱気が伝わりとても目頭が熱くなる本です。一人で走っていても決して一人ではない、無性に走り出したくなります。(M.I.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『幸福な食卓』瀬尾まいこ/講談社

『流れ星が消えないうちに』橋本紡/新潮社

流れ星が消えないうちに

橋本紡

新潮社

ISBN: 978-4-10-135181-0

著者の橋本紡さんは当初ライトノベルを書いていましたが、2006年に発表した本書以降は文芸にシフトします。恋人が事故で亡くなり恋人の親友が手を差し伸べます。しかし2人にとってかけがえのない人間を忘れることはできません。大切な人への思いに満ちた物語です。(R.S.)

誰かを心から愛し大切に思う気持ち、大切な人の死と折り合いをつけようともがく苦しさ、そういった感情に丁寧に向き合った作品。切なくも愛と優しさに溢れ、最後にポッと心に火を灯してくれる、そんな美しい物語。(I)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『流浪の月』凪良ゆう/東京創元社

『幸福な食卓』瀬尾まいこ/講談社

幸福な食卓

瀬尾まいこ

講談社

ISBN: 978-4-06-275650-1

瀬尾まいこさんは2019年に『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞したのでご存じの方も多いのではないでしょうか。変わった家族の物語というと簡単すぎる紹介になってしまいます。本書は家族とはなにか、恋とはなにか、優しいけど心に刺さります。思春期の佐和子が思い悩みながら成長するのかなあと思っていると衝撃の終盤に言葉を失います。(R.S.)

本屋大賞作家となった瀬尾まいこさんの初期出世作。映画化される等いろいろな意味で彼女が飛躍した作品。家族や恋人との「つながり」の機微を描き、読む人を引き込む力を持った意欲作。(H.F.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『スコーレNo.4』宮下奈都/光文社

『阪急電車』有川浩/幻冬舎

阪急電車

有川浩

幻冬舎

ISBN: 978-4-344-41513-3

本書は登場人物が数名いるので群像劇とでもいえばいいでしょうか。登場人物の人生が交錯していくことで「人は誰かに影響を与え、誰かから影響を受けている。私も誰かに影響を与えているのかな?どうせならいい影響を与えたいな。」と前向きになります。見ず知らずの人と繋がることで暖かく幸せな気持ちになります。本書を読んで有川浩さんに興味を持たれたなら恋愛小説の『植物図鑑』もオススメです。(R.S.)

目的地まで移動する束の間の時間に、自分の放った一言が他人の人生を変えているかもしれない。自分の人生を豊かにする人と出会うかもしれない。日常の中で見落としがちな小さな縁を探してみたくなる作品です。Y)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『木曜日にはココアを』青山美智子/宝島社

『スコーレNo.4』宮下奈都/光文社

スコーレNo.4

宮下奈都

光文社

ISBN: 978-4-334-74678-0

宮下奈都さんというと本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』が一般的には良く知られています。映画化もされましたし観た方も多いのではないでしょうか。本作のいいところは悩んでいる主人公のさりげない日常を描いているところです。中学生から社会人までの4話で構成されていますが、最終話の社会人のお話で派遣先の靴屋で働き、その後イタリアに出張に行くのですが、ここから何気ない日常に魔法がかかります。読後感も爽快でおすすめです。(R.S.)

1人の女性の成長物語。普通の少女が様々な経験を経て大人になり気づいていくこと。特別なドラマはないからこそ輝く物語。そっと背中を押してくれるそんな作品。(M.S)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『旅屋おかえり』原田マハ/集英社

『島はぼくらと』辻村深月/講談社

島はぼくらと

辻村深月

講談社

ISBN: 978-4-06-293451-0

辻村さんの小説は中学受験する小学生にも読まれていることをご存じでしょうか。塾の先生が受験生にオススメする作品に本作が入っていることが多いです。Y谷O塚さんとタイアップして塾の教室に出張販売に訪れた際に本作が売り切れてしまった覚えがあります。キラキラと輝く甘酸っぱい青春時代を辻村さんは見事に切り取ってくれます。心の奥に眩く輝く季節が蘇り永遠に続く気持ちにさせてくれるのです。(R.S.)

島からフェリーで高校に通う同級生4人の物語。青春を痛いほど浴びることが出来ます。(M.S.)

■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『14歳からの哲学』池田晶子/トランスビュー

2025年12月26日 更新

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