本は発売後時間が経つと売行が落ちる場合が多いですが、何年もの間ずっと売れ続けている本もあります。数多のロングセラーの中から実際に読んでお客様に自信をもってオススメできると思った選りすぐりの1冊が「ロング・ロング・ロングセラー」レーベルです。三省堂書店スタッフのおすすめコメントとともにご紹介。ぜひ日々の本選びにお役立てください。
『第一阿房列車』内田百間/新潮社
いわゆる「乗り鉄」の先駆けなのでしょうか、鉄道ファンに本書は聖書(バイブル)なのかもしれません…とにかく百間先生が尋常ではありません。目的のない大阪までの旅に出るわけですが、昭和の時代には百間先生のような素敵なおじさんがたくさんいたと思います。今の私たちから見るととても軽妙洒脱ですね。飛行機や新幹線で目的地まで直行する旅と違って、何もしなくていい時間が無限にあってそれを寄り道しながら自由に使う贅沢さも羨ましいです。(R.S.)
紀行文学ですが、旅の内容より行く先々で出会う事柄に対するアクロバティックな文句が売りです。毒舌キャラの先駆者かもしれません。(N)
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『猫語の教科書』ポ-ル・ギャリコ/筑摩書房
『人間の土地』サン=テグジュペリ(著 )、堀口大學(訳)/新潮社
飛行機に乗った時にこの本は読まない方がいいと思います。サン・テグジュペリは「星の王子さま」で有名ですが本書の方がいいという方もいらっしゃいます。「星の王子さま」が寓話的であるのに対して、本書は著者のパイロットとしての体験に基づいたエピソードが多く、といっても砂漠に不時着したりなのですが、人生とは何か、生きるとは何かについて考えさせらます。(R.S.)
第二次世界大戦前、職業飛行家の著者が砂漠での遭難や友人とのエピソードなどを語りながらも、人間の本質というテーマへ抽象化し、そして人生哲学へとつなげます。「真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは・・・」心に響く言葉に溢れた一冊です。そして。この哲学は「星の王子さま」の数々のエピソードに繋がってゆくのです。(M.N.)
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『月と六ペンス』ウィリアム・サマセット・モーム/新潮社
『何者』朝井リョウ/新潮社
朝井さんには何度かお会いしたことがあります。一番最初にお会いしたのは朝井さんがまだ大学生で「桐島、部活やめるってよ」でデビューしたばかりの時でした。その後朝井さんが人気の作家になって本当にうれしいです。本作は直木賞を受賞し映画化もされたのでご存じの方も多いと思います。悩み生きる若者を描いていてとても好感が持てます。(R.S.)
就職活動を軸に話を展開していきますが、どの年代の方が読んでも何かしら考えさせられると思う作品です。自分は何者なのか、何者かになれるのか?そしてtwitter(現X)と僕たち。本当に素晴らしい作品です。気に入ったらぜひ『何様』も!映画もすごいです。ぜひお読みください。(T.O.)
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『スコ-レNo.4』宮下奈都/光文社
『ビートルズ全詩集 改訂版』ビートルズ、内田久美子(訳)/ソニー・ミュージックパブリッシング
ビートルズファンはジョン派とポール派に分かれるそうです(ジョージとリンゴファンの皆様ごめんなさい)。私が今まで会ったことのあるファンはどちらかというとポール派が多かったと思います。レノン&マッカートニーの曲はどれも美しいメロディで心を躍らせます。YouTubeでいつでも動くビートルズが見ることができるなんて夢のようですね。ところでビートルズファンの皆様、歌詞は大丈夫でしょうか?意味を分かって聴くとさらにビートルズへの思いが強くなると思います!(R.S.)
おうち時間にお勧め!!一緒に歌いましょう♪♪(M.I.)
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『猫語の教科書』ポ-ル・ギャリコ/筑摩書房
『月と六ペンス』サマセット・モーム(著) 、金原瑞人(訳)/新潮社
サマセット・モームは19世紀に生まれ1965年に亡くなっているので2度の世界大戦を経験している激動の時代を生きた作家の1人です。他の作品では「人間の絆」なども有名ですが、医者で諜報部員で同性愛者ということなので興味が尽きないですね。ストーリーを重視した平易な文章は読みやすく大衆小説家として人気を博しました。本書は画家のゴーギャンをモデルにしていると言われています。(R.S.)
読了し「ノンフィクションではないの?」としばし呆然とした一冊。いい人でいることや、明朗で快活な人に疲れた方にオススメです。好ましい正しさや明るさだけが人間ではないと実感させてくれます。(I)
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『ワインズバーグ、オハイオ』シャーウッド・アンダーソン/新潮社
『100万回生きたねこ』佐野洋子/講談社
ほんとうによくこういう「おはなし」を考えられますよね。想像力の無い私としてはとても感心してしまいます。絵本なのに大人にも読むことが出来る、人生の普遍の気持ちを描いています。(R.S.)
100万回は読めなくとも、50年は読み返せる最強の名作。(T.H.)
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『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット/福音館書店
『14歳からの哲学』池田晶子/トランスビュー
本書を紹介するにあたって著者の池田晶子さんは哲学者ということになっていますが、わかりやすい言葉で哲学を伝えたエッセイストといった方がいいかもしれません。この本は「考えること」に答えはなく「考えること」自体が重要なのだと教えてくれます。普通の人ほど長く生きられなかった池田さんですが、墓碑銘は「さて死んだのは誰なのか」だそうです。本当に凄い方ですね。(R.S.)
14歳の人へ贈る、そしてかつて14歳だった大人へ贈る〝読んで、覚える”のではなく〝考えて、知る”ことを知るための名著。(T.K.)
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『すごい物理学講義』カルロ・ロヴェッリ/河出書房新社
『猫語の教科書』ポール・ギャリコ(著),灰島かり(訳)/筑摩書房
書店に勤める前はテニススクールのインストラクターの仕事をしていました。真夏に1時間半のレッスンを1日5回行っていたのですが(冬は日が短いので4回)今考えると凄い体力でした。ある日スクールに迷いネコがやってきて「タマ」と名付けられました。当時のコーチ陣の中で一番年下だった私が面倒をみることが多く背中を掻いてあげるととても気持ち良さそうだったのを覚えています。著者のポ-ル・ギャリコはスポーツ記者上がりであったこともあり多彩な作家で、本書でもその一面が垣間見れます。(R.S.)
猫飼い必読!猫の猫による猫のための猫語の教科書です。(K.I.)
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『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア・マルケス/新潮社
『検察側の証人』アガサ・クリスティー(著)、加藤恭平(訳)/早川書房
小学生の頃に「怪人20面相」、「シャーロックホームズ」、「怪盗ルパン」などを読んでいました。ルパンは読みやすかったですが、小学生には20面相やホームズは暗くてやや怖かった覚えがあります。中学生になるとそろそろ大人が読む本を読むようになり、推理小説ということでアガサ・クリスティの映画にもなった「オリエント急行殺人事件」や「そして誰もいなくなった」を読んでそのトリックやストーリー展開に仰天したものです。本作もクリスティの見事な手腕が発揮され、あれよあれよという間に驚愕の結末まで連れていかれるのです。(R.S.)
どこかでうっかりネタバレを見る前に、古今東西のミステリを読みすぎてスレてしまう前に、読んでおきたい一冊。(M.K.)
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『月と六ペンス』ウィリアム・サマセット・モーム/新潮社
『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット(作)、わたなべしげお(訳)、ルース・クリスマン・ガネット(絵)/福音館書店
アメリカのフォークグループにピーター、ポール&マリーというグループがあり「パフ(Puff)」という曲があります。「パフ ザ マジック ドラゴン(Puff,the Magic Dragon)」と呼ばれる場合もあるようです。この曲は竜と少年の交流を描いた童謡だそうですが、発表された当時はベトナム戦争真っ只中で多くの人は反戦歌として受け取ったようです。歌と本で違うのですが竜と少年の交流というのがエルマーシリーズに似ていますね。エルマーシリーズは3部作でこの「エルマーのぼうけん」が第1作になります。1963年発売ですので、この「ロング・ロング・ロングセラー」レーベルの中で一番お兄さんかもしれません。(R.S.)
この本何刷りか見てください。児童書って本当にすごいと実感できる。私には大切な人からもらった特別な1冊です。(Y.S.)
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『島はぼくらと』辻村深月/講談社
2025年11月13日 更新