人生を彩る本棚

「酒と健康」を考える4冊

飲む? やめる? うまく付き合う?――

「今日は軽く一杯だけ」「晩酌が何よりの楽しみ」――気づけば習慣になっているお酒との付き合い。 かつては「酒は百薬の長」とまで言われ、赤ワインのポリフェノールが健康に良いといった説も話題になりました。けれども最近では、少量の飲酒であっても健康リスクがあるという研究結果も増えてきました。 それでも、仕事終わりに一杯やるとホッとする。友人との飲み会が何より楽しい。そうした感情もまた、私たちが“お酒をやめられない理由”のひとつです。 健康のことが気にならないわけじゃない。でも、今すぐ酒を断てと言われても……。 そんな揺れるお酒との距離感を、見つめ直してみたくなる本を今回はご紹介します。 飲み続けるために知っておきたいこと、飲まない人生に切り替えた人の声、そしてお酒の奥深い世界まで。読むことで少しだけ、自分にとっての「ちょうどいい一杯」が見えてくるかもしれません。

『なぜ酔っ払うと酒がうまいのか』葉石かおり/日経BP

なぜ酔っ払うと酒がうまいのか

葉石かおり

日経BP

ISBN: 9784296207497

「酒は百薬の長」と言われていたのは過去のこと、どうやら少量のアルコールでも体に良くないという説が有力になってきているようです。毎晩吞んだくれる人はもちろん、夕食で赤ワインを一、二杯という人にも気になるお酒と健康の関係、お酒好きの著者がさまざまな疑問を22名の専門医にぶつけます。どのぐらい呑むと害があるのか、そもそも体に悪いのならなぜうまく感じるのか。わかっちゃいるけどやめらないお酒の影響について理解を深めてみませんか。

『しらふで生きる 大酒飲みの決断』町田康/幻冬舎

しらふで生きる 大酒飲みの決断

町田康

幻冬舎

ISBN: 9784344431461

断酒。幾度となくトライしてそして挫折。特に病気で強制的に医者に止められたわけでもなく自主的に酒を断つのは相当の意思の強さが必要でしょう。このは、突如断酒を思い立ち、30年以上の大酒飲み生活に別れを告げたパンクロッカーにして芥川賞作家、町田康のとめどなくあちこちに飛び回る思考を収めたエッセイ集。酒をやめて見えて来る世界とは果たして。この本を読んで自分も酒やめようと思う人がどのぐらいいるかは分かりませんが、怖いもの見たさでどうぞ。

『痛風の朝』キンマサタカ/本の雑誌社

痛風の朝

キンマサタカ

本の雑誌社

ISBN: 9784860114619

痛風の原因である尿酸はアルコールによって体外への排出が抑制されます。高尿酸血症による痛風発作は激痛を伴うし、腎臓にも負担はかかるし、大体病名を告げると笑われる病気なんて…。もちろん尿酸値を下げるなら酒をやめるのがいいのは百も承知ですが、この本に寄せられた痛風持ちたちによる悲喜こもごもなエッセイを読むと「なんだかみんな痛風を楽しんでいるんじゃないか」と思ってしまいます。痛風の原因は食事や運動だけではありません。あなたもいつこっちの世界に来るかわかりませんよ。

『白熱日本酒教室 増補改訂版』杉村啓、アザミユウコ/星海社

白熱日本酒教室 増補改訂版

杉村啓,アザミユウコ

星海社

ISBN: 9784065370896

「獺祭」の様に海外で人気の銘柄も出ている日本酒。やっぱり和食には日本酒が合いますよね。夏は冷やして、冬は燗して、そして常温でも。一年中楽しむことが出来るお酒です。でもお店に買いに行くと純米やら大吟醸やらなにがどう違うの?と飲み慣れていてもあらためて考えるとわからないことだらけ。そんな人にぴったりなのがこの本です。日本酒の製法やラベルの見方や飲み方などをかわいいイラストの「むむ先生」に教わっていきましょう。そうそうコミック版(全3巻)もありますよ。

2025年5月30日 更新

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