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心にグッとくる!【Part6】

本には読んでいる人の心を揺り動かす力があります。心が揺さぶられたり、思わず涙腺が緩んでしまったり、一生に一度出会えることが奇跡のような本を集めたのが「グッとBook!」レーベルです。

『木曜日にはココアを』青山美智子/宝島社

木曜日にはココアを

青山美智子

宝島社

ISBN: 978-4-8002-9712-9

青山美智子さんは『お探し物は図書室まで』が2021年本屋大賞で2位に入りました。本書は青山さんのデビュー作で2020年に創設された宮崎の書店員らが選ぶ「宮崎本大賞」の第1回受賞作です。人との縁のすばらしさが染みる連作短編集に心が癒されます。(R.S.)

疲れたときに読むと心がほっとする、そんな本です。短編集なので本が苦手な人にもおすすめ。(M.F.)

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『秘密』東野圭吾/文藝春秋

『コインロッカー・ベイビーズ』村上龍/講談社

新装版 コインロッカー・ベイビーズ

村上龍

講談社

ISBN: 978-4-06-276416-2

村上龍さんといえばデビュー作の『限りなく透明に近いブルー』が大変話題になり芥川賞を受賞したイメージがありますが、かくいう私は小学生でしたので池田満寿夫さんの『エーゲ海に捧ぐ』とあまり区別できていなかったと思います。高校生になった頃に本作『コインロッカー・ベイビーズ』が発売になり、過去にさかのぼって『限りなく透明に近いブルー』と『海の向こうで戦争が始まる』を読んだ記憶があります。しかし高校生の私に本作の衝撃は重く「文学ってこんなにバイオレンスなんだ」と勝手に思ってしまいました。今思うと村上龍さんって当時の文壇のニュージェネレーション的な存在でアメリカの匂いのする作家だったのかもしれませんね。(R.S.)

今まで読んだ小説の中で唯一、傷つき、血を流す痛みをリアルに感じた作品。今どきのチャラチャラなディストピア小説達が尻尾を巻いて逃げ出すような1980年の大傑作。(S.C)

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『告白』町田康/中央公論新社

『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド(著) 、駒月 雅子(訳)/早川書房

あなたに不利な証拠として

ローリー・リン・ドラモンド(著) ,駒月 雅子(訳)

早川書房

ISBN: 978-4-15-177601-4

アメリカでは警察が被疑者を取り調べる際には「黙秘権がある。証言は法廷で不利に扱われることがある。」などを言い渡すミランダルールが義務づけられています。この告知がされていない状態での供述は公判で証拠として用いることができないそうです。また検察側に被告人の有罪を証明する責任がある推定無罪の原則などもあって警察権力の濫用を牽制しています。本書は2007年このミステリーがすごい!海外編で第1位になりました。当時池上冬樹さんが「心が震える!」とコメントしていた記憶があります。(R.S.)

ハヤカワ文庫には名作がたくさんある。その古今東西の名作をあっさり凌駕したのがこれだ。一生に一度出会えることが奇跡のような本だ。心が鷲掴みにされて動けなくなる。(R.S.)

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『コンビニ人間』村田沙耶香/文春文庫

『告白』町田康/中央公論新社

告白

町田康

中央公論新社

ISBN: 978-4-12-204969-7

私が最初に町田さんにお会いしたのは『パンク侍、斬られて候』のサイン会の時でした。2度目にお会いしたのが本書『告白』のサイン会の時でした。どちらのサイン会もとても盛況で参加受付を途中で締め切った記憶があります。それまで町田さんの作品を読んだことがなかったのですが、初めて『パンク侍、斬られて候』を読んだ時の衝撃は忘れません。『告白』にいたっては言葉も出ませんでした。読後コメントにもありますが天才っているんですね。(R.S.)

この本を読むまでは町田康は「元ミュージシャンでちょっと面白い」程度の認識でしたが、この本を読んでからはこの人は天才だったんだなと思うようになりました。(H.Y.)

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『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア・マルケス/新潮社

『ワインズバーグ、オハイオ』シャーウッド・アンダーソン(著)、上岡伸雄(訳)/新潮社

ワインズバーグ、オハイオ

シャーウッド・アンダーソン(著),上岡伸雄(訳)

新潮社

ISBN: 978-4-10-220151-0

アメリカには3回行ったことがあります。行ったことがあるのはニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴの3都市なので州で言うとニューヨーク州、カリフォルニア州、イリノイ州に行ったことになります。オハイオ州と聞いてどこにあるのか調べみたところ、思ったよりも東側(ニューヨークというか大西洋側)で北寄りでした。オハイオ州の北側は五大湖のひとつエリー湖でその向こうはカナダのオンタリオ州です。ちなみにワインズバーグという町は作者の創造で実際には存在しないそうです。まだ馬車が乗物で遠くの街に行くには鉄道で移動していた時代の話ですが連作短編でそれが非常に現代的です。私はアメリカ文学研究者ではないので帯に「トウェインからヘミングウェイやフォークナーなどの橋渡しをなした重要作家」と書かれていてもピンときませんでしたが、アメリカの田舎町で毎日を暮らす人々の鬱々とした気分が良くわかります。(R.S.)

停滞した辺境の町で生活する「取り残された人々」を描く連作短編集。孤独と抑圧に苛まれ、ただ何かを切望する苦しみ。再読の度にワインズバーグの全景が浮かび上がります。(K.K.)

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『木曜日にはココアを』青山美智子/宝島社

『旅屋おかえり』原田マハ/集英社

旅屋おかえり

原田マハ

集英社

ISBN: 978-4-08-745225-9

私は3回福島県に行ったことがあるだけで福島以北の東北地方に足を踏み入れたことがありません。ですので東北というと雪、酒くらいしか思い浮かばなくて情けないですが、秋田県にある角舘は全国的にも桜が有名ですね。枝が柔らかくて垂れさがるシダレザクラは天然記念物に指定されているそうです。見頃は4月下旬から5月上旬ということなので全国的にみてもかなり遅い開花時期です。ただの桜ではなく「シダレザクラ」と言われるとそのシダレ具合を見てみたくなります。この本の主人公は北海道の礼文島出身です。私みたいな都会育ちの人間には角舘も礼文島も聞いたことはありますが行ったことがない人が殆どだと思います。「いい日旅立ち」ではないですが旅の代理人になって旅が出来たらどんなにいいでしょう。(R.S.)

主人公の「おかえり」が代わりに旅をする仕事「旅屋」を始める。人との繋がりやあたたかさと、「おかえり」と一緒に旅している気分が味わえる楽しい1冊。(K.S.)

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『100万回生きたねこ』佐野洋子/講談社

『存在の耐えられない軽さ』(著者)ミラン・クンデラ、(訳)千野栄一/集英社

存在の耐えられない軽さ

(著者)ミラン・クンデラ,(訳)千野栄一

集英社

ISBN: 978-4-08-760351-4

今の日本に住んでいる私たちには想像が難しいですが、数十年前の世界はアメリカとソ連が対立して東西冷戦の真っ只中でした。毎日のニュースはアメリカとソ連の不仲を報道しており、世界のあちこちでアメリカとソ連を後ろ盾にした対立が起こっていました。ヨーロッパはベルリンの壁のあるドイツで東西に隔てられ、西側がアメリカ傘下の自由主義国家で西欧と呼ばれ、東側がソビエト傘下の社会主義国家で東欧と呼ばれていました。現在はチェコとスロバキアに分かれていますが、この物語の舞台は分断前の東欧の一国チェコスロバキアです。所謂「プラハの春」と言われる自由主義的改革が、北大西洋条約機構 (NATO)に対抗して作られたワルシャワ条約機構軍の軍事介入により潰されていく様子が描かれています。物語の作り手として世界最高峰といっても過言ではないクンデラはチェコスロバキア国籍を剥奪されたフランスの作家でこの本では究極の恋愛を描いています。1988年に公開された映画も素晴らしいです!(R.S.)

これ二度目に読了した時、2時間くらい号泣したけど今思えばなんでそんな泣いたんだろって感じだし、きしょ!って感じだけど、でもたぶん次読んだら3時間くらい号泣しそう。(K)

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『流浪の月』凪良ゆう/東京創元社

2026年1月29日 更新

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