人生を彩る本棚

本で旅する、世界の絶景

旅に出たい。でも、今すぐには行けない——そんなとき、私たちをどこへでも連れていってくれるのが“本”です。
本のページをめくるだけで、世界の果ての神秘的な風景や、日本の四季の美しさ、さらには夜空の彼方の星のきらめきまでも感じることができます。
本記事では、書店スタッフが厳選した「本で旅する絶景5選」をご紹介。美しい写真とともに、心を動かす風景が広がる5冊の書籍を通じて、日常の中で旅気分を味わってみませんか?

絶景1|“季節”でめぐる世界の旅

いちばん美しい季節に行きたい世界の絶景365日

TABIZINE PIE International

パイインターナショナル

ISBN: 9784756255013

『いちばん美しい季節に行きたい世界の絶景365日』

TABIZINE パイインターナショナル(パイインターナショナル)
ISBN:4756255019

この一冊には、世界中の絶景が「もっとも美しい季節」に焦点を当てて紹介されています。エジプトのピラミッドが夕日に照らされる瞬間、イタリア・トスカーナの春の丘、ボリビア・ウユニ塩湖の雨季の鏡張り、アイスランドの氷河に朝日が差し込む風景など、「その場所にその季節に行かなければ出会えない」奇跡のような瞬間が、365日分詰まっています。

また、この書籍の魅力は、ただ美しい風景写真を並べるだけではありません。それぞれの風景について、訪れるべき時期、アクセス方法、現地の文化や背景なども簡潔にまとめられており、写真集でありながら読み物としても楽しめます。
旅に出たい気持ちを叶えたいとき、あるいは誕生日や記念日など、大切な日にちなんで開いてみるのもおすすめです。まるで自分だけのトラベルカレンダーのように、心に寄り添ってくれる一冊です。

絶景2|日本の四季と絶景をめぐる一冊

いちばん美しい季節に行きたい日本の絶景365日

TABIZINE PIE International

パイインターナショナル

ISBN: 9784756252944

『いちばん美しい季節に行きたい日本の絶景365日』

TABIZINE PIE International(パイインターナショナル)
ISBN:475625294X

こちらは同じくTABIZINE編集部による日本版。春の桜並木、夏の棚田と星空、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々に輝く日本の美しい景色を365日に分けて紹介しています。

北海道の美瑛の丘から、沖縄の透明な海まで、日本全国の絶景が網羅されており、身近な場所から一生に一度は訪れてみたい名所まで幅広く紹介されています。それぞれの絶景には「訪れるならこの日がベスト!」という季節のおすすめ情報が添えられており、まさに日本を旅するビジュアルカレンダー。

日常に少し疲れたとき、今日という日をもっと豊かに過ごしたいとき、ふとこの本を開けば「次の休日はどこへ行こうか」と、気持ちが軽くなっていくはずです。日本の風景に改めて惚れ直す、そんな体験をくれる一冊です。

絶景3|世界で最も美しい“知の殿堂”へ

世界の美しい本屋さん

清水玲奈

エクスナレッジ

ISBN: 9784767819730

『世界の美しい本屋さん』

清水玲奈(エクスナレッジ)
ISBN:9784767819730

「旅行先で行ってみたいのは、美術館?観光名所? それとも——本屋?」
本好きなら一度は夢見るであろう“世界の美しい本屋巡り”を叶えてくれる写真集がこの一冊です。世界各国のユニークで美しい本屋が紹介されており、その装飾や歴史、ローカルとの関わりなども詳細に語られています。

たとえば、アルゼンチン・ブエノスアイレスの「アテネオ・グラン・スプレンディッド」は元劇場を改装した巨大な書店で、天井画や舞台の名残がそのまま残る圧巻の空間。オランダの教会を再利用したモダンな本屋、ポルトガルの荘厳な木造書棚が並ぶ老舗書店など、どのページを開いても「本を売る空間」がここまで美しくなれるのかと驚かされます。

文化と芸術が融合した本屋という空間を旅することは、その国の知性や感性に触れることでもあります。旅好きと本好き、両方の心を掴む一冊です。

絶景4|“地元の目”が選ぶ日本再発見の旅

地元写真家がいちばん見せたいにっぽんの絶景

#みんなの地元推し,別所隆弘

玄光社

ISBN: 9784768315811

『地元写真家がいちばん見せたいにっぽんの絶景』

#みんなの地元推し 別所隆弘(玄光社)
ISBN:476831581X

この本は、地元写真家たちが“自分のふるさとで一番見せたい風景”を撮り下ろし、紹介した写真集です。全国各地の知られざる名所や、SNSで話題となったスポットなどが、写真と短いコメントとともに掲載されています。

魅力的なのは、どの写真にも“生活の気配”が漂っていること。よそ行きの観光パンフレットには載っていない、地元ならではの視点や、静かな時間、日常の中の一瞬の美しさが収められているのです。派手さはないけれど、確かに心を打つ風景たち。撮影者のまなざしの優しさが、写真の奥に感じられます。

有名観光地を巡るだけでは得られない“本当の日本”に触れる旅。それがこの本の中にはあります。

絶景5|星の世界へ——宇宙にいちばん近い旅

天空の庭

KAGAYA

河出書房新社

ISBN: 9784309257457

『天空の庭』

KAGAYA(河出書房新社)
ISBN:4309257453

星空写真家として世界的に知られるKAGAYA氏による、天体写真集の決定版ともいえる一冊。夜空に広がる星の海、オーロラが揺れる極地の空、星座の軌跡が映し出す宇宙のリズムなど、まるでプラネタリウムの中に入り込んだような美しい世界が展開します。

KAGAYA氏の作品は、単なる星の記録にとどまらず、宇宙と人間のつながり、自然の壮大さ、そしてそれを見上げる私たちの“小ささ”と“かけがえのなさ”をも感じさせてくれます。

写真とともに添えられた詩的なコメントも魅力のひとつ。夜空を眺めながらページをめくれば、日常の悩みや焦りがすっと消えていくような感覚に包まれるはずです。夜寝る前の読書にも、贈り物にも最適な、美しい宇宙の旅のガイドブックです。

おわりに

「旅に出る」という言葉の裏には、単に移動することだけではない、“自分を見つめ直す時間”や“新しい価値観との出会い”が含まれています。本は、そのすべてを静かに、確かに運んできてくれる道具です。

今回ご紹介した5冊は、写真や文章を通して、私たちに新たな世界を見せてくれるものばかり。日常の中に小さな旅を取り入れることで、毎日が少しずつ豊かになる——そんな読書体験を、ぜひ味わってみてください。

2025年5月31日 更新

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