神保町 あの人の1冊【書泉グランデ】

「神保町あの人の一冊」にて本を紹介してくれた「あの人」からお店のおすすめや人柄が伺えるインタビュー記事を掲載します。あなたの好きが見つかる!広がる!そんな出会いがあればうれしいです。

<店舗紹介>
書泉グランデです。
プロレス・鉄道・精神世界・中世ヨーロッパまで、フロアごとに”趣味の聖地”が広がる個性派書店。本だけでなく鉄道部品やミード(蜂蜜酒)、羊皮紙まで揃う唯一無二の品揃え。「好き」を極めた棚があなたを迎えます!

<神田神保町の街について>
インタビュアー:神保町への思い、エピソードなどがあればお願いします。
手林社長:わかりました。
インタビュアー:
最近、タイムアウト(Time Out Tokyo)にて「世界で一番クールな街」に神保町が選ばれたというニュースがありました。なぜ選ばれたのだと思いますか?
手林社長:
実は「クールな街」としては、5年前に下北沢が2位になったことがあります。今回神保町が選ばれた時は、みんなに言っても、誰も知らなかったんですよ。割とみんな「へぇー」という感じだったのが面白かったです。皆さんもお感じだと思いますが、選ばれたことでインバウンド、特に欧米系の方が増えました。以前はコミック売り場までしか来なかった方も、今は5階の鉄道売り場にも外国の方が増えました。神保町は面白い街ですが、案外まだ発見されていなかった街だと思います。
インタビュアー:
今回でしっかり見つかったわけですね。ただ、流行りとしてではなく、どう楽しんでもらうかが課題ということですね。
手林社長:
はい。例えば、「クールな街神保町」というニュースが出たので、「ポスターを作ろう」と思い、早速自分で作りました。「クールな街の、クールな店」と書くとダサいので、「ぬるい」にすることにしました。「クールな街なんだけど、ぬるい街(店)」として英語に訳して貼っています。
インタビュアー:「ぬるい」を英語で表現したんですね。面白いです。
手林社長:
はい。英語表現もまだ完全には思い出せないのですが、タイムアウトさんからシールをたくさんいただき、店中に貼ってもらいました。
インタビュアー:肆(ヨン)さんにも協力してもらったんですね。
手林社長:はい、本当に盛り上がりました。今後も楽しみです。
インタビュアー:書泉さんは書店としては比較的新しい書店ですが、神保町には長く続く老舗書店や古本屋さんも多いですよね。
手林社長:
三省堂書店さんや東京堂書店さんは100年以上の歴史があります。書泉は新参ですが、75年で、この店は50年くらいです。古本屋さんも100年規模のところがあります。新しいお店と古いお店が融合して、面白いことができるといいと思っています。
インタビュアー:新旧のお店の融合で街全体を盛り上げるイメージですね。
手林社長:
はい。私たちもできる範囲で取り組みます。例えば、神保町っぽい名物を作ろうと、亀井さん(三省堂書店・社長)と飲んでいた時に、「クラフトビールを作りたい」と言いましたが、「神保町だからジンでしょ!」という話になりました。親父ギャグかと思いましたが、それでいいかと(笑)。
ビールだと冷蔵庫が必要で運搬も冷蔵が必要ですが、ジンは常温で大丈夫なので、作るならジンの方が良いという理由もあります。さらに、単にお酒を作るだけでなく、裏側に書き下ろしのストーリーを添えて、「読めるお酒」として本屋らしい形にしました。
インタビュアー:本屋らしさを意識されたわけですね。
手林社長:
はい。最初は呑み会のノリで、三省堂書店さんと書泉で盛り上がり、東京堂書店さんも巻き込まれる流れ になりました。その中で色々な話ができたので、一昨年から三書店のベストセラー企画も始めました。各書店のベストセラーをそのまま載せるというかたちで記事化したところ、本当にバラバラで面白かったです。結果、一番個性的だったのは東京堂書店さんでした(笑)。
インタビュアー:各書店の個性の違いがわかる企画ですね。
手林社長:
さらに毎年秋に、「薬理凶室」とコラボした「アリエナイ本の街 神保町 2025」をこれまで3回開催しました。薬理凶室のファンには女性や若い方も多く、神保町に来てもらうきっかけになっています。専門知識を持つ方々と一緒に、専門書をもっと読んでもらうきっかけとして神保町にきてもらうための活動として始めました。
インタビュアー:
なるほど、専門書ファンや若い世代にも神保町に来てもらう仕掛けがあるんですね。
手林社長:
この企画をきっかけに、本屋だけでなく、飲食や文房具など街のさまざまなお店と協力して取り組むことができました。初年度は6店舗、その後25店舗ほどに広がり、新しいお店や異業種との連携もコンパクトながら実現できています。
インタビュアー:
書泉さんは、街のさまざまな店舗と一緒に取り組むイメージがあります。私たちも貢献できるように頑張りたいです。例えば、ガイドツアーを実施して、店内だけでなく神保町の街、引いては神田界隈も巡り魅力を感じてもらう、とか。
例えば、小川町や西神田の名所などを巡って、途中でお昼を食べたり、最後は「みますや」さんで お酒を飲んだりする、というようなイメージです。
手林社長:
いいですね。あと、これ三省堂書店さんで絶対やったほうがいいと思うことが一つあります。
インタビュアー:なんですか?
手林社長:
1階が、上から見下ろせるようなスペースになるじゃないですか。そこでみんなでお弁当を食べたら超楽しいと思うんです。
インタビュアー:あー!
手林社長:
この辺で一番いい仕出しのお弁当を持ってきて、街をぐるっと回り、最後は三省堂書店さんの1階で本棚を眺めながら食べる。めちゃくちゃ楽しいと思います。
インタビュアー:いいですね。お店の外からも食べている人の様子も見れるんですね。
手林社長:
そうです、それが面白いと思います。「本屋で何やってんだ」と怒られるかもしれませんが、コンセプトには合っている気がします。
インタビュアー:できると面白そうですね。
手林社長:
はい。営業時間中だと難しいですが、夜なら可能です。「夜弁(よるべん)」ですね。本当はお酒も入れるともっと面白くなります。もう「三省丼」という丼を作ってもいいくらい(笑)。ヨンさんも「勝手に作っていいかなぁ」と言っていました。※実際作っていただきました。
インタビュアー:とても楽しそうですね。
<店舗のおすすめ>

インタビュアー:書泉さんのおすすめポイントを教えてください。
手林社長:
はい、お願いします。地下がプロレス・ミリタリー・スポーツなど、1階は話題書や文庫そして催事を行うスペースです。2階がコミック、3階がライトノベル・特撮・中世ヨーロッパ関連書、4階が数学・占い・動物など、5階が鉄道・バスとミリタリー、6階がアイドル・芸能関連、7階がイベントスペースという構成です。(フロアに到着して)今ここは地下、プロレスと格闘技のフロアになります。
インタビュアー:おおー、すごい。
手林社長:プロレスファンにはたまらない聖地になっています。
インタビュアー:これ、全部プロレスですか?
手林社長:はい。プロレス・格闘技だけでこの在庫量は他にあまりありません。
インタビュアー:確かに、棚の密度がすごいですね。サイン本もたくさんありますね。
手林社長:
著者やレスラーの方が直接来て書いてくださることも多く、「現場感」や熱量を大事にしています。(別のフロア、5階へ移動)ここが書泉の代名詞でもある鉄道フロアです。
インタビュアー:やっぱりすごいですね。
手林社長:
鉄道関連では、本だけでなく実際に使われていた鉄道部品や方向幕も販売しています。
インタビュアー:本屋の中に部品があるのが、書泉さんらしいですね。
手林社長:
はい。「本に関連するものなら何でも置く」というスタンスです。時刻表のバックナンバーも探している方が多いです。(下のフロア、4階へ)ここは占い・数学などのフロアです。
インタビュアー:独特の空気感ですね。
手林社長:ここはリピーターが多く、タロットカードの品揃えは日本最大級と言われています。
インタビュアー:タロットだけでこんなにあるんですか。
手林社長:専門性が高いほどお客様も「ここに来ればある」と思ってくださいます。
インタビュアー:
「趣味の聖地」と呼ばれる理由がわかりますね。棚からスタッフの「好き」が漏れ出している感じがします。
インタビュアー:
ありがとうございます。次は、さらに詳しい棚作りのこだわりについて伺います。
手林社長:(移動)
このフロアは、中世ヨーロッパに特化した売り場を作っています。「ここは日本なのか、ヨーロッパなのか」と思えるくらいです(笑)。「ウィザードリィ(Wizardry)」の棚みたいでいいんだ、という話もありました。
インタビュアー:本当ですね。
手林社長:
実際にこの辺のものも売り物です。模造刀などの武器や、「世界最古のお酒」と言われるミード(蜂蜜酒)もこだわりで置いています。
インタビュアー:本屋さんにミードが置いてあるんですか。
手林社長:
はい、そういうものも置いています。奥には専門書もあります。ファンタジーに興味がある方は、漫画などの売り場から派生して、原典にあたる際にこちらに流れてくる、という動線があるように作っています。
インタビュアー:なるほど、売り場全体でストーリーに入っていくような工夫ですね。
手林社長:さらにグッズもあります。羊皮紙(ようひし)を販売したりもしています。
インタビュアー:羊皮紙まで売っているんですか(笑)。すごいですね。
手林社長:ありがとうございます。
<神保町 あの人の1冊>
神田神保町本店1F「つながる本棚」にて、インタビューを受けて下さった書泉グランデの手林社長のお気に入りの本をご紹介いただいております。神保町という町に足を運ぶ方々、本が好きな方に刺さるであろう選書です。ぜひ読んでみてください。

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2026年4月15日 更新