神保町 あの人の1冊【クオン(チェッコリ)】

「神保町あの人の一冊」にて本を紹介してくれた「あの人」からお店のおすすめや人柄が伺えるインタビュー記事を掲載します。あなたの好きが見つかる!広がる!そんな出会いがあればうれしいです。

<店舗紹介>
アンニョンハセヨ。チェッコリへようこそ。
チェッコリはですね、韓国語をまるごと売ってる本屋です。 と言っても、韓国語の本を売ってるお店なんですね。日本語で翻訳されている韓国語の本も売っています。

<おすすめ①>
チェッコリの大きな特徴としては、もちろん韓国の本を売っているのですが、それだけではありません。韓国にまつわるさまざまな文化の分野で活躍している方々をお招きして、トークイベントを開催しています。年に8回ほど行っていますね。週に2回、3回ほど開催していて、どれも非常に人気があり、会場はいつも満席になることが多いです。オンラインでの参加・販売も行っています。
もう一つ、チェッコリで力を入れているのが「チェッコリ BOOK CLUB」です。これは二本立てで開催しています。ひとつは、韓国語で本を読む読書家の方々を集めた読書会で、初心者クラス。もうひとつは、作家を深掘りする中級クラスで、こちらも韓国語で本を読む読書会です。現在は今期がスタートしています。韓国語で読書会を行っている場所は、非常に少ないと思います。チェッコリは、これをずっと続けてきました。

<おすすめ②>
入口から一番奥に入ってくると、ジンのコーナーがあります。私たちは「ひとりジン」と呼んでいるのですが、例えば、韓国を旅行してお酒を飲んだ人たちが作ったお酒のジンがあったり、韓国の食べ物をテーマにジンを作っている人たちもいます。そういったジンを仕入れて販売するコーナーです。
また、自分たちで作ったジンもあり、初めて韓国文学や古典を読む方のためのジンを作ったりもしています。自分たちでも作っていますし、お客さんからの提案で生まれたものもあって、とても豊かなコーナーになっています。ここからも、また韓国が見えてきます。
今とても売れているのが、アートツアーのジンです。韓国各地のアートツアーを紹介しているジンで、1号、2号と続いています。ジンの面白いところは、作り手が「好き」でやっているので、その好きがどんどん深まっていくことです。1号、2号、3号とシリーズで続いていくのも、大きな特徴だと思います。こういう人たち、本当に大好きですね。
チェッコリに一番合う読者だと思っています。作り手でもあり、読む人でもある、私たちが一番好きな読者です。こういう存在は本当に嬉しいですね。(三省堂さんも、こういうのを入れたらどうでしょうか。もっと来ますかね。)こちらは、韓国の雑貨、本にまつわる雑貨のコーナーです。これはしおりです。いろいろな形があります。見てください。布で作ったしおり。可愛いですよね。これは『アーモンド』という小説のイラストを描いた方が作っているものです。まるごと韓国があります。ぜひ、いらしてください。

<神田の街>
神保町に関するエピソードとして、私は日本に来て三十数年になりますが、神保町は本の街であり、自分が神保町でこうして働くことになったことについて、とても感謝している方がいます。2015年7月にチェッコリを立ち上げました。その年の秋に、神保町岩波ブックセンターの代表で、「神保町を元気にする会」の会長でもあった柴田眞さんが、チェッコリに来てくださいました。
柴田さんは一人でゆっくり店内を回り、その様子をブログに書いてくださったということで、後日お電話をいただきました。その時は直接お会いできなかったのですが、柴田さんがチェッコリを訪問してくださったことを電話で知りました。とても温かい文章を書いてくださいました。柴田さんはすでに亡くなられていますが、その年の秋に開催された神保町ブックフェスティバルに、チェッコリは出版社でもある久遠出版社として出展しないかと声をかけてくださいました。
神保町ブックフェスティバルに出展したのですが、当時は出版社が申請すれば参加できるということも知らず、参加したことで「日本で認めてもらえた」という感覚がとても大きかったです。それをきっかけに、柴田さんと一緒に、神保町を韓国の方々にも紹介したい、そしてチェッコリに来るお客様にも紹介したいと思い、神保町を紹介するトークイベントを企画しました。
その最初の出演者が柴田さんでした。その後もイベントを続け、柴田さんをはじめ、北沢書店の北澤さんや、内山書店の内山さんにもご出演いただきました。そうした神保町のつながりを、チェッコリのお客様にも伝えてきました。
<三省堂書店への思い>
神保町は、本当にたくさんの国の人たちが行き交い、さまざまな言語が飛び交う場所だと思います。外国の方も多く訪れますよね。三省堂さんでも、日本語だけでなく、韓国語をはじめ、さまざまな言語の本を置いていただけると、より多くの人に喜ばれる場所になるのではないかと思います。
チェッコリは、韓国に関する本を応援していますし、私たちのネットワークを通じて、さまざまな国の書店を紹介することもしています。ぜひ、たくさんの言語の本を三省堂に置いていただけたら嬉しいです。
<神保町 あの人の1冊>
インタビューを受けて下さったクオン(チェッコリ)のキム・スンボク代表のお気に入りの本をご紹介。神保町という町に足を運ぶ方々、本が好きな方に刺さるであろう選書です。ぜひ読んでみてください。

『完全版 土地 01巻』朴景利(著),金正出(監修),吉川凪(訳) / クオン
(あらすじ)1897年、朝鮮半島の農村。大地主の屋敷で起きた前代未聞の事件が、人々の運命を大きく揺るがす——。毎日出版文化賞受賞、韓国文学の最高峰と名高い全20巻の大河小説がついに完訳。息をのむ人間ドラマが、今始まる。
『死の自叙伝』金恵順(著),吉川凪(訳) / クオン
(あらすじ)2025年、HKW国際文学賞を詩集で受賞——アジア人初の快挙。光州民主化抗争、セウォル号事件……権力に奪われたすべての命へ捧げる「死の自叙伝」49篇。韓国フェミニズム詩の旗手が問う。「わたしたちの生は、不完全な死だ」と。
『幼年の庭』(著)呉貞姫, (訳)清水知佐子 / クオン
(あらすじ)日常に潜む不安、孤立、愛情の揺らぎ——生きあぐねる女たちの心を、繊細で詩的な言葉で描いた呉貞姫の作品集。朝鮮戦争を生き抜いた著者の幼少期から三十代の内面まで、全九編を収録。時代を超えて響く、現代女性文学の原点。
2026年4月1日 更新