









本を読んでいる時にページをめくる手が止まらなくなり最後まで読まないと気が済まなくなったことはありませんか?謎解きや笑いや冒険など驚きに満ちた本がたくさんあります。手に汗握って息をのみ徹夜してしまうこともあるかもしれません。そんなワクワクやドキドキをお届けするのが「ワンダ?ワンダ!」レーベルです。三省堂書店スタッフのおすすめコメントとともにご紹介。ぜひ日々の本選びにお役立てください。
『異世界に一番近い場所』幽玄一人旅団清水大輔/パイインタ−ナショナル
ネトゲの世界にどっぷりと浸かっていた著者の視点で撮った遺跡・古都・教会などの写真集ですが、本当に実在するとは思えない非現実的な景色です。世の中には本当にこんな世界もあるんだなと感心してしまいます。(R.S.)
眺めているとゲーム音楽が聞こえる気がするくらい、ファンタジーな世界が広がっている。(H.K)
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『ほとんど記憶のない女』リディア・デイヴィス 、岸本佐知子(訳)/白水社
著者のリディア・デイヴィスさんはアメリカの作家で作家のポール・オースターの最初の配偶者でした。2020年本屋大賞〔翻訳小説部門〕第2位、第10回Twitter文学賞(海外編)第1位のルシア・ベルリン著「掃除婦のための手引き書」のあとがきを書いています。本書は51篇の不思議な短編集で、ほんの数行で終わるものもあれば、30ページくらいのものもあります。知的で深みがあり、それでいて親しみ易く、思考の無限の可能性を感じさせます。(R.S.)
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『R62号の発明・鉛の卵』安部公房/新潮社
著者が30歳前後の時に発表した前衛的な手法と様々な発想が盛り込まれた12の短編が収録されています。会社を首になり、死のうとした男が死後ロボットにされるという「R62号の発明」で短編集は始まります。労働者を首にする資本家への復讐をSF短編に仕立てている卓越した才能ももちろんですが、1950年代の小説として後の小説や映画やアニメの時代の先取りしていることにも驚きます。革新的で唯一無二の安部ワールドを読むと「文学って凄いな!」と思います。(R.S.)
阿部公房の著作はこれに限らず、極限状況に置かれた人間心理を描き切り、今日見られるあらゆる極限小説の設定は、氏の作品にすべて網羅されていると言っても過言でなく、読書の効用である現実からの離反を十分に堪能させてくれる。(J.T.)
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『プラチナデータ』東野圭吾/幻冬舎
本当に東野圭吾さんの作品は面白いということを再確認できるのが本書です。題材や設定、登場人物やストーリーなど東野さんには無限の引き出しがあって今回はDNA管理システムのお話です。エンターテイメント色が強い近未来SFサスペンスで2013年に映画化されています。(R.S.)
予想外の展開もあって面白かったです。(R.N.)
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『都市と都市』日暮雅通(訳) 、チャイナ・ミエヴィル/早川書房
本書はヒューゴー賞を始めSF主要各賞を独占した驚愕の小説ということですが、読んでみるとSF要素は薄くどちらかというと警察ミステリーです。東欧あたりの架空の2つの国の話で、監視国家体制なのが近未来のディストピアのようでSFなのかもしれません。息もつかせぬ勢いで謎を解いていく主人公の刑事の活躍ぶりは見事です。(R.S.)
二つの都市がモザイク状に入り組む町。ありえない設定を警察小説としてたくみに読ませます。(R.M.)
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『引っ越し大名三千里』土橋章宏/角川春樹事務所
上司からの無茶振りに右往左往する武士たちをコミカルに描き、時代劇に新風を吹き込んだ傑作時代小説です。2014年に「超高速!参勤交代」という題名で映画化され第38回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、第57回ブルーリボン賞作品賞を受賞しました。(R.S.)
上司からの無茶振りに右往左往するのはいつの時代も一緒…。生涯に七度の国替えをさせられた実在の大名のあの手この手の引越し作戦。主人公は引きこもりのお侍。映画化もしたこの作品、原作をぜひ読んでほしいです。(O.Y.)
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『ジョーカー・ゲーム』柳広司/角川書店
戦前の日本を舞台にした異色のスパイミステリーです。ジェームズボンドのようなアクション映画とは反対の地味な情報戦をリアリティたっぷりに描いており痺れます。(R.S.)
スパイ養成機関『D機関』での訓練を受け、成長したスパイたちがさまざまな案件を解決していくストーリーは読んでいてわくわくするものがあります。(N.S.)
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『改訂完全版 異邦の騎士』島田荘司/講談社
本書は島田荘司さんの御手洗潔シリーズの4作目になります。出だしから張り巡らされた謎、そして後半怒涛の展開から驚愕の真相に驚きの連続です。初めて本シリーズを読む方が今まで御手洗潔シリーズを読んでこなかったことに後悔すること間違いなしの面白さです。(R.S.)
名探偵御手洗潔の初登場作品。後の作品では、エキセントリックで意味不明な行動の多い御手洗のカッコよさに痺れます。最後は涙なしでは読めない‥ これでファンになり、島田荘司先生の作品は全部読みました。(Y.M.)
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『友達・棒になった男』安部公房/新潮社
「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の3編が収録されている戯曲集です。得体のしれない不条理が心に刺さります。表題作は1人暮らしの男の家に突然9人の家族が居座り始め男を困惑させます。この後段々男が追い詰められいてく様子が異常に怖いです。(R.S.)
突然9人の家族が主人公の家に来て多数決の原理で住み始める。そこから始まる奇妙な生活。多数決の先に待つ主人公の運命は?(S.T.)
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『玩具修理者』小林泰三/角川書店
小林泰三さんは1995年に本書で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞後ご活躍されましたが2020年に58歳という若さで亡くなりました。小林さんの作品はホラーからSF、ミステリーと作風を広げながらも斬新な作品が多数を占めます。本書は表題作を含めて2作収録されており表題作は猟奇的で不気味でグロテスクです。玩具修理者は何でも直してくれます。弟を過って死なせてしまった主人公は死んだ弟を玩具修理者の所へ持って行きます・・・。これだけでも嫌な感じがしますね。もう1篇の「酔歩する男」は並行世界の存在を前提にしたSFです。(R.S.)
表題、収録されている中編作品共に、読み進めている内にじわりじわりと背筋が寒くなります。(M.C.)
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2025年7月18日 更新