









本は発売後時間が経つと売行が落ちる場合が多いですが、何年もの間ずっと売れ続けている本もあります。数多のロングセラーの中から実際に読んでお客様に自信をもってオススメできると思った選りすぐりの1冊が「ロング・ロング・ロングセラー」レーベルです。三省堂書店スタッフのおすすめコメントとともにご紹介。ぜひ日々の本選びにお役立てください。
『教室はまちがうところだ』蒔田晋治(作)、長谷川知子(絵)/子どもの未来社
みんなの前で手をあげて発表するときの、ドキドキする気持ち、だれもが経験しているはずです。そんな子どもたちを「まちがえることをおそれちゃいけない」と励まし、まちがうなかで「ほんとのものを見つけていくのだ」「そうしてみんなで伸びていくのだ」と語りかけます。(R.S.)
こんな教室があったらな…こんな先生がいたらな…教室で間違ったっていいんだよ。きっと何かのきっかけになる本です。(N)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『たいせつなこと』マ−ガレット・ワイズ・ブラウン / フレ−ベル館
『あしたも、こはるびより』つばた英子、つばたしゅういち/主婦と生活社
仲良しな老夫婦が小さな家と素敵な庭で毎日丁寧に暮らしています。お二人ともきちんと食事を取って体を動かし、住まいを整えて畑を耕し、基本なことをコツコツやっていて尊敬してしまいます。簡素だけど優雅な歳時記です。(R.S.)
丁寧な手仕事、季節を感じて自然と生きる」83歳と86歳のご夫婦の暮らし歳時記。お二人のお顔に癒されます。ドキュメタリー映画となった「人生フルーツ」もおすすめです。(A.H.)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『世界一美味しい手抜きごはん 最速!』はらぺこグリズリー/KADOKAWA
著者のはらべこグリズリーさんは2017年に「世界一美味しい煮卵の作り方」で第4回料理レシピ本大賞(料理部門)を受賞しましたが、そのすぐ2年後の2019年に本書で第6回料理レシピ本大賞(料理部門)を再度受賞したカリスマ料理研究家です。ご本人は「手抜き料理研究家」と言っておられますが、材料も工程もシンプルなのに簡単で美味しい料理ができるのは素晴らしいことです。(R.S.)
私が料理を始めたきっかけの本。簡単な材料と簡単な手順でちゃんとおいしい料理ができる。休日の食事がちゃんとしたごはんになりました。(H.K.)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『緋色の研究』アーサー・コナン・ドイル、深町眞理子 (訳)/東京創元社
推理小説史上最高の探偵といっても過言ではないシャーロック・ホームズ。多くのシャーロキアン(シャーロック・ホームズの熱狂的なファン)を産んだホームズシリーズの最初の作品で、ホームズとワトソンが出会い、2人がベーカー街221番地Bを下宿先にして共同生活を送ることになるところから始まります。今読み返すと思ったよりもミステリではない要素も入っていますが、ホームズ独特のセリフや謎解きを堪能できます。序盤の伏線を最後の方で見事に回収しており、歴史的名作は時代が経っても古さを感じることはなく面白いということがわかります。(R.S.)
聞いたミステリほど、実は読んだことがないってあるある・・・そんなあるあるはもうやめてしまいましょう!ホームズ作品は頭から尻尾まで極上!ドイルの1作目。ちょうど、三省堂書店が生まれたころでもあります。(K.O.)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『ワセダ三畳青春記』高野秀行/集英社
高野秀行さんの作品には珍しく外国も外国人もほとんど出てきません。2005年の第1回酒飲み書店員大賞を受賞しています。高野さんが早稲田界隈の激安アパートで暮らした若かりし頃の記録で、ユニークな住人や大屋さん、そして友人たちとの交流が描かれています。「めぞん一刻」のアパートの住人のようなエキセントリックな登場人物に驚くばかりですが、ユーモラスなだけでなくノスタルジックでセンチメンタルで、ぐいぐいと高野ワールドに引き込む高野さんの力は凄いと思います。(R.S.)
人気ノンフィクション作家高野秀行のいわばエピソードゼロ。笑いと涙の青春記。(K.A.)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『ウルトラマン誕生』実相寺昭雄/筑摩書房
物心がついた頃には毎週金曜日の夜に「帰ってきたウルトラマン」を観て、平日の夕方に「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」の再放送を観ていました。「ウルトラマン」の最終回にウルトラマンがゼットンに倒された時に泣いてしまった記憶があります。
本書は「ウルトラマン」の誕生秘話や各話の作り方を解説し、撮影の舞台裏をスタッフの苦労話などをインタビュー中心で伝えます。CGによる映像があたりまえになった昨今、半世紀以上前の「特撮」にかける情熱はただならぬものを感じさせます。(R.S.)
物心ついた時より〇〇レンジャーより、○○ライダーよりウルトラマンに心惹かれた私にとって夢のような<メイキング>本であり、撮影当時のアイデアや情熱が伝わってくる熱量が大きい1冊。イラストも素晴らしい。(T.O.)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『完全版 チェルノブイリの祈り』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ、松本妙子 (訳)/岩波書店
1986年に旧ソ連のウクライナのチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故がチェルノブイリ原子力発電所事故です。巨大原発事故に遭遇した人々の悲しみと衝撃とは何か。本書は普通の人々が黙してきたことを、被災地での丹念な取材で聞き取った珠玉のドキュメントです。1998年に刊行され2011年に文庫版となった旧版に比べて約1.7倍の増補改訂が施された完全版となりました。
著者のスヴェトラ-ナ・アレクシエ-ヴィチさんはベラルーシの作家でジャーナリストです。2015年に「我々の時代における苦難と勇気の記念碑と言える多声的な叙述に対して」ノーベル文学賞を受賞しました。本書は2005年に全米批評家協会賞ノンフィクション部門賞を受賞しています。(R.S.)
この本を読む前と、読んだ後では少し自分の位置が変わっているような感覚があります。そのズレのような感覚が何なのかを追求したくなると思います。(Y.K.)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『文人悪食』嵐山光三郎/新潮社
近代の文豪たちの食に関するエピソードを集めていて作品に関しての言及も多くとても充実した内容です。1人の文豪につき約20ページほどですが、名だたる文豪たちの嗜好や性癖が次々に明らかになり大変面白いです。著者の嵐山光三郎さんはフジテレビ「笑っていいとも!増刊号」の編集長としてお茶の間でも知られるようになりましたが、本業は編集者で作家でエッセイストです。(R.S.)
誰もが知っている文人たちの.あまり知られていない食について。食を通して性格や作風を感じます。森鴎外のまんじゅう茶漬けの衝撃といったら…。(O)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『桶川ストーカー殺人事件』清水潔/新潮社
著者の清水潔さんは新潮社の写真週刊誌「FOCUS」で桶川ストーカー殺人事件の容疑者を割り出して警察に報告した他に警察の闇も暴きます。本書は2001年第44回日本ジャーナリスト会議大賞受賞作でこの事件を発端にストーカー制定法が制定されました。(R.S.)
「文庫X」として話題になった同著者の『真犯人はそこにいる』よりも事件ノンフィクションとしての完成度は数段上です。マスコミが警察の捜査の杜撰さを洗い出す契機となった迫真のルポ。(S.C.)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン、上遠恵子(訳)/新潮社
この世は驚きに満ちています。純粋で感受性の豊かな子供のように自然の神秘や美しさを感じることができるようになれるといいです。本文に『「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない。』とあります。あっという間に読める本ですが、書かれていることはとても深くて、じっくりと再読してみたくなります。(R.S.)
名著「沈黙の春」によって環境問題を一般に広めた著者の最後の作品。今こそ読みたい、世界的ベストセラーです。(M.N)
■こちらの本をご覧になった方へのおすすめ
2025年7月18日 更新