人生を彩る本棚

もっとビールが美味しくなる!読んで酔う5冊

陽が落ちて、グラスの中で泡立つ琥珀色の液体。喉を潤し、心をほぐすこの一杯に、もっと深く酔いしれてみませんか?

ビールはただの飲み物ではなく、歴史と文化、そして多彩な味わいが交差する“物語”のある存在です。そんなビールを、より深く知り、もっと美味しく味わいたいと思ったことはありませんか? 

本を読むことで、私たちの感性は豊かになり、知識は味覚の奥行きを広げてくれます。今回は、ビールの魅力を存分に楽しめる珠玉の5冊をご紹介。日本のビール文化に誇りを持ちたくなる一冊から、クラフトビール探訪のガイド、晩酌が待ち遠しくなるレシピ本、果てはビールが鍵となるミステリー小説まで――“読んで酔える”一冊を見つけて、ビールとの時間をより一層楽しんでみませんか?

1. 「日本のビールは、ここまできた!」

『日本のビールは世界一うまい!』永井隆/筑摩書房

日本のビールは世界一うまい!

永井隆

筑摩書房

ISBN: 9784480075628

「え? 日本のビールが世界一?」と驚く人にこそ読んでほしい、ビール愛と事実に満ちた一冊。なぜ日本のビールはここまで美味しくなったのか? 大手メーカーの技術力、消費者の舌の鋭さ、そして職人魂が織りなす“日本ならではのうまさ”の理由を、熱い筆致で語ります。

クラフトビール人気の陰に隠れがちな「大手ビール」の凄さに光を当てた本書は、私たちが日々口にする缶ビールの向こう側にある、企業努力を教えてくれます。読み終わったあと、いつものビールがぐっと誇らしく、ありがたく思えるかもしれません。

2. 知識が一杯の旨みを生む

日本ビール検定公式テキスト 知って広がるビールの世界

日本ビール文化研究会

翔泳社

ISBN: 9784798182964

『日本ビール検定公式テキスト 知って広がるビールの世界』日本ビール文化研究会/翔泳社

ビールの世界を体系的に学ぶならこの一冊。通称「びあけん」こと「日本ビール検定」の公式テキストです。ビールの歴史から製法、原料、国内外のスタイル、注ぎ方やペアリングの基本まで、幅広い内容を網羅。検定に挑戦しなくても、ビールラバーなら一読の価値ありです。

知識がほんの少し増えるだけで、いつものビールがもっとおいしく・もっと楽しくなります。ホップの香りに敏感になったり、ラベルの記載からブルワリーのこだわりを読み解けたりと、ビールが“知的な趣味”に昇華する感覚を味わえます。仕事終わりの一杯にちょっとした蘊蓄を添えられたら、それはもう立派なビアマスターです。

3. 旅するビール、出会いは全国203ブルワリー!

日本のクラフトビール巡り 全国203ブルワリー集合!

ビアEXPO運営事務局 富江弘幸

リトル・モア

ISBN: 9784898156025

『日本のクラフトビール巡り 全国203ブルワリー集合!』ビアEXPO運営事務局 富江弘幸/リトル・モア

クラフトビールブームが加速する今、全国には個性的なブルワリーが続々と誕生しています。この一冊は、なんと203か所のクラフトビール製造所を巡る、まさに“ビール版ガイドブック”!

北海道から沖縄まで、各地の気候や文化に根ざしたクラフトビールを紹介し、ブルワリーの写真やおすすめ銘柄、訪問時のポイントまで丁寧に解説。旅好き・ビール好きにはたまらない内容です。

全国津々浦々のクラフトビールを味わう、ブルワリー巡りの旅に出かけてみませんか

4. おつまみで味わい倍増!

サッポロビールの晩酌三昧! 乾杯おつまみ

サッポロビール

ワン・パブリッシング

ISBN: 9784651204581

『サッポロビールの晩酌三昧! 乾杯おつまみ』サッポロビール/ワン・パブリッシング

ビールの楽しみは、飲むだけでは終わらない。むしろ、おつまみと合わせてこそ完成するとも言えるでしょう。そんな“ペアリングの喜び”を教えてくれるのが、本書です。

サッポロビール公式が監修し、「黒ラベルにはこれ!」「エビスにはこの料理!」と、銘柄ごとのおすすめおつまみレシピを紹介。どれも家庭で手軽に作れるものばかりで、手順も写真付きでわかりやすい構成です。

例えば、定番の唐揚げも「ビールと合うポイント」を抑えることで驚くほど奥深い味わいに。毎日の晩酌をグレードアップさせたい人にこそ手に取ってほしい一冊です。料理初心者でも、読めばきっと「自分でつくって飲む」ことが楽しくなります。

5. “麦酒”が謎を解く鍵?

麦酒の家の冒険

西澤保彦

講談社

ISBN: 9784062649278

『麦酒の家の冒険』西澤保彦/講談社

ラストは変化球。ビールにまつわるフィクションを一本ご紹介。ミステリー作家・西澤保彦による『麦酒の家の冒険』は、ビール好きなら思わずニヤリとする設定が満載の、知的好奇心と遊び心に溢れた作品です。

ドライブの途中、4人が迷い込んだ山荘には、1台のベッドと冷蔵庫しかなかった。冷蔵庫には、ヱビスのロング缶と凍ったジョッキ。ベッドと96本のビール、13個のジョッキという不可解な遺留品の謎を酩酊しながら推理するうち、大事件の可能性に思い至る……。

登場人物とともに酔っぱらいながら推理をすすめる体験ができる作品。読書とビール、どちらも好きな人にとって最高の“ペアリング体験”になるでしょう。

まとめ:ビールの楽しみは、本とともに深まる

「飲む」「知る」「旅する」「作る」「物語る」——今回ご紹介した5冊は、それぞれ異なるアプローチでビールの世界を広げてくれます。これまで何気なく飲んでいた一杯が、知識や感性をまとって、格段に美味しく感じられるはずです。

本を読んで、ちょっとこだわって、じっくり味わう。そんな時間が、ビールをより豊かに、そして人生をより愉快にしてくれるはず。

次の一杯は、ページをめくりながら。
あなたのビール時間が、もっと美味しくなりますように。

2025年6月2日 更新

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