





ビジネスを“意味”で動かすーAI研究者が選ぶ知の扉をひらく本棚
AIが社会に浸透し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が日々進展する現代、私たちは無意識に効率を求め、安易な特効薬に心を奪われがちです。しかしながら、次世代を切り拓くリーダーは、目の前の課題から、その背後にある「意味」を読み解き、より高い視座から世界を見渡す視点です。 私は研究者として、単なるAIの開発にとどまらず、AI(人工知能)を生み出した根源である人間の「知」とは何かを探究し続けてきました。文系理系を問わず、さまざまな分野の書物を数珠つなぎのように自由に辿っていくなかで、知の豊かさが育まれてきました。
今、眼前に迫る格差を乗り越え、先駆者としての第一歩を踏み出す
『DX格差 AIに仕事を奪われないための5つのスキル』松田雄馬/三省堂
一冊目、まずは自著をご紹介します。 AIやデジタルに「使われる」のではなく、デジタルによって変革を起こす側に回るための道標となる一冊です。 デジタルは、若者や理系のものと思われがちです。ところが実際は、デジタルを使って目の前の業務を変え、その積み重ねによってキャリアアップしている人はたくさんいます。 もちろん、そのような活躍をしている人も、最初からそうだったわけではありません。 本書は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を起こしてきた人が、どのように創意工夫を行ってきたのかを物語にすることで、皆さんがDX時代のキャリアを築くためのヒントを提供します。自分のDX対応力を診断する「松田式DXアセスメント」の無料受診特典付き。
AI時代の根底にある、近代科学を捉えなおす
『科学資本のパラダイムシフト パンデミック後の世界から』矢野雅文/文化科学高等研究院出版局
二冊目として、私のフィロソフィーの基礎となった、東北大学名誉教授の矢野雅文先生の代表作をご紹介します。 矢野先生は、脳や生命を研究しながら、そもそもの生命としての人間の在り方を探究されています。 その視座から見えてくるのは、近代科学そのものに根源的に存在する問題です。 近代科学に潜む「分離」という問題とは何なのか、その先にある「非分離の科学」は何をもたらすのか。 皆さんの視野が大きく広がることは間違いないでしょう。
生命を捉えなおし、日本武道から次世代を見渡す
『生命知としての場の論理 柳生新陰流に見る共創の理』清水博/中央公論新社
三冊目にご紹介するのは、私の人生観にも大きな影響を与えた、東京大学名誉教授の清水博先生の代表作です。 清水先生は、生命科学やAIなど、さまざまな分野に大きな影響を与えています。 本書では、近代科学の限界に対して、生命科学の観点だけでなく、日本武道を代表する流派の一つである柳生新陰流を研究することで、古来の日本文化に眠る「場所」の理論を体系化して伝えます。 米中主導のAI時代に対して、日本独自の視点を見出し、次世代を切り拓く大きなヒントを与えてくれる一冊です。
米国脳科学者による、近代科学を超える生命思想
『進化の意外な順序 感情、意識、創造性と文化の起源』アントニオ・ダマシオ/白揚社
四冊目は、米国を代表する脳科学者アントニオ・ダマシオ先生の一冊です。 ダマシオ先生の著書としては「生存する脳」という、私たち人間の脳に潜む、生命としての根源の脳「生存脳」についての著書が有名です。一方、2019年に翻訳された本書は、当時の理論からさらにパワーアップした、生命を超え、文明や文化そのものの起源に迫る野心作です。生命科学の「今」を知ることはもちろん、芸術やAIにまで視野を広げ、人類の未来を知る書として、チャレンジしたい一冊です。
AI時代の物語、その根源に迫る
『GENIUS MAKERS Google、Facebook、そして世界にAIをもたらした信念と情熱の物語』ケイド・メッツ/CEメディアハウス
昨今、AI時代と言われながら、AIが生まれ、普及した歴史を知る人はそう多くありません。 AI研究は、「カナディアンマフィア」と呼ばれるごく少数の研究者が世界に散らばることによって牽引されています。 通り一遍の「3回のAIブーム」を知るだけでは、今のAI時代を読み解くことはできません。 2024年にノーベル物理学賞を受賞したトロント大学のジェフリー・ヒントン先生を祖とする先駆者たちの足跡を辿り、 どのようにAI時代が形づくられてきたのか、その道筋を辿ることは、 次世代を切り拓く大きなヒントになるでしょう。
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私自身も大きく影響を受けた、これからの時代を切り拓こうとするすべての人にとってのヒントとなる書籍を紹介してきました。 何年たっても色あせず、いつ手にしても新しい発見のある本ばかりです。この本棚を足がかりに、皆さんが新しい時代の扉を自ら切り拓くことを願っています。
DX時代のキャリアを築くためのヒントとなるDX対応力診断「松田式DXアセスメント」はこちらをご覧ください。
2025年6月20日 更新