建築に興味があるなら、まずこの5冊
「建築って、なんか面白そう」——そう感じたことはありませんか?
建築学科の学生はもちろん、まったく別の仕事をしていても、街を歩いて建物が気になった人、住まいや空間に興味が湧いてきた人、建築士ってどんな仕事か知りたい人。そういう「建築の入口に立ったばかりの人」にこそ、読んでほしい本があります。
一級建築士として設計・施工管理と向き合ってきた私が、「専門知識ゼロでも楽しめて、建築の世界がぐっと広がる」と自信を持っておすすめできる5冊を選びました。漫画あり、事典あり、建築家の言葉あり。どこから読んでも、建築が好きになれる本ばかりです。
ぜひ、あなたの最初の一冊を見つけてください。
「建築が好き」という気持ちを育てる一冊
『建築家になりたい君へ 』 隈研吾 / 河出書房新社
世界的建築家・隈研吾氏が、建築家を目指す若者に向けて自身の経験を語った一冊。建築との出会い、アフリカ留学、初仕事のリアル、日本建築の独自性まで、設計の哲学をやさしい言葉で伝えてくれます。建築を学び始めた人が読むと、「なぜ建築が面白いのか」がスッと腑に落ちるはずです。専門的な勉強に向かう前に、まずこの一冊で建築への眼差しを育ててほしいです。
設計の基本はここから。身近な寸法が全部わかる
『一生使えるサイズ事典 住宅のリアル寸法 完全版』エクスナレッジ
建築を学ぶ上で最初に身につけたいのが「寸法感覚」です。人体寸法・家具・家電・自転車・車まで、住宅設計で使う寸法がこの一冊にぎっしり詰まっています。読んでいるだけで「ドアの幅は80cmくらいなのか」「キッチンの奥行きはこれくらいのサイズか」といった身の回りの寸法が次々とわかるようになっていく、知的好奇心を刺激する事典です。これらを知ることから建築をつくることは始まります。建築を学び始める方の最初の一冊として、自信を持っておすすめできます。
漫画で、建築士の仕事と法規が楽しく学べる
『一級建築士矩子の設計思考』 全5巻 鬼ノ仁/日本文芸社
27歳の一級建築士・古川矩子が、東京で立ち飲み屋兼建築事務所を経営しながら奮闘する物語。著者自身が一級建築士の資格を持つ漫画家というだけあって、建築士の仕事のリアルや建築基準法の知識が自然に盛り込まれています。「建物が建つまでにどんな法律が絡むのか」「建築士はどんな判断をしているのか」が、読んでいるうちにすんなり頭に入ってきます。漫画なので絵や図が多くて読みやすく、建築の勉強をゲーム感覚で始めたい人に特におすすめです。
2巻以降も好評発売中です。
「一級建築士矩子の設計思考」2巻
「一級建築士矩子の設計思考」3巻
「一級建築士矩子の設計思考」4巻
「一級建築士矩子の設計思考」5巻
法規が「難しい」から「面白い」に変わる一冊
『身近な事例から学ぶ 面白すぎる建築法規』 そぞろ/学芸出版社
建築法規は避けて通れない知識ですが、「とっつきにくい」と感じる人がほとんどです。この本は、身近な建物の事例と豊富な写真・図を使って、複雑な建築基準法をわかりやすく解説しています。本の中ではテーマごとに難易度が星1〜5で示されているので、自分の理解度に合わせて読み進めやすいのも魅力です。「なぜこの規制があるのか」という背景を考えるきっかけを与えてくれるので、法規が社会や人々の安全を守る仕組みだと実感できます。著者のそぞろさんは指定確認検査機関で5000件以上の審査に携わったプロ。法規の全体像をつかみたい人にとって、頼もしい一冊です。
建物の「なぜ快適か」の正体が、物理学でわかる
『建物は物理学である』 Sho建築士 / ベレ出版
最後は私自身の著書をご紹介します。「力」「熱」「光」「音」という4つの視点から、建物に宿る物理学をわかりやすく解説した一冊です。「なぜ建物は倒れないのか」「なぜ断熱すると暖かいのか」—建築を学び始めた方が授業で習う内容と、現実の建物を結びつけるための架け橋になることを意識して書きました。難しい数式は使わず、身近な建物の「なぜ?」を入り口に、建築と物理の面白さを一緒に感じてもらえると嬉しいです。
建築を学び始めたころは、すべてが新鮮で、同時にとっつきにくく感じることも多いと思います。私自身もそうでした。でも振り返ると、難しいと思っていたことのほとんどが、「良い入口」さえあれば面白く学べるものでした。今回選んだ5冊は、建築の魅力・寸法・仕事のリアル・法規・物理と、それぞれ違う入り口を持っています。どれか1冊でも手に取ってもらえれば、建築の世界がぐっと広がるはずです。建築を学び始めたあなたの、最初の本棚に加えてもらえたら幸いです。
2026年4月23日 更新